研究課題/領域番号 |
15380097
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
有賀 豊彦 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (50096757)
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研究分担者 |
関 泰一郎 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (20187834)
熊谷 日登美 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (20225220)
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キーワード | diallyl trisulfide / colon cancer / apoptosis / tubulin / cell cycle |
研究概要 |
昨年度までにdiallyl trisulfide(DATS)がカーリック中の抗がん作用を担う物質であることを明らかにした。本年度はDATSの作用メカニズムについてより詳細に検討した。 DATSを培地に加えて培養したヒト大腸がん細胞(DLD-1)の細胞周期の分布について解析したところDATS添加後6-12時間にかけて細胞周期のG_2/M期での停止が認められた。分裂期マーカーであるリン酸化H3ヒストンについて検討した結果からDATSは特にM期で細胞周期を一時的に停止させることが明らかとなった。さらにDATS添加12時間以降において、apoptosisの実行因子であるcaspase-3の活性化が認められ、細胞周期のアレストの後にapoptosisが誘導されることが示唆された。 DATSを添加して培養したDLD-1細胞の微小管形成を、蛍光免疫染色により観察したところDATSは微小管ネットワーク形成を阻害し、微小管の脱重合を促進する薬剤のcolcemidやvincristineと同様の微小管像を示した。精製tubulinを用いた検討から、DATSは直接tubulinに作用してその機能を阻害する可能性が考えられた。そこで、DATSと共にインキュベートしたtubulinをトリプシン消化し、そのペプチド質量をLC-MS/MSにより測定した。その結果、理論的なペプチド質量に対して、分子量72.1付加されたペプチドが観察された。すなわち、計算上β-tubulinの12番目と354番目のcysteine残基(SH基)がcysteine-SS-allylとなったペプチドが検出された。 DATSのin vivoにおけるがん細胞増殖抑制作用を検討するため、HCT-15細胞を移植したヌードマウスCAnN.Cg-Foxn1^<nu>/CrlCrljに、DATS(6mg/kg b.w.)を尾静脈投与した。その結果、DATS投与はvehicle投与と比べ、摘出した腫瘍のサイズが1/3であり、腫瘍増殖の抑制が認められた。また、摘出した腫瘍について組織化学的な解析を行ったところ、vehicle投与マウスの腫瘍と比べてDATS投与マウスの腫瘍では、より広範囲に壊死像が観察され、DATSはin vivoにおいても抗腫瘍効果を示すことが示された。
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