研究分担者 |
柳井 清治 北海道工業大学, 工学部, 教授 (20337009)
井良沢 道也 岩手大学, 農学部, 助教授 (40343024)
佐藤 弘和 北海道立林業試験場, 森林環境部, 研究職員
菊池 俊一 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (10250490)
山越 隆雄 独立行政法人土木研究所, 土砂管理研究グループ, 研究員 (10355860)
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研究概要 |
流域改変による微細土流から陸域水辺バイオスフェアを保全再生するための技術原理を構築するために、各研究分担者それぞれのフィールドにおいて、個々の研究課題についての研究を開始した。 山田は研究全体の総括と、微細土発生機構を物理的に解明するために、粘着性土壌表面の飽和時に形成される過飽和層の侵食強度特性を実験で検討した。佐藤は、森林流域と畑地を内包する流域において浮遊土砂の流出特性を比較した。森林流域に比べて畑地流域(微細土の主な供給源)では微細土の流出量が多く,90%以上が土粒子で構成され,総浮遊土砂中に占める微細土の含有割合も高かった。井良沢は、積雪亜高山帯を流域に含む河川の融雪出水による微細土流出実態を明らかにするために、岩手県八幡平赤川において河川水流出成分の変化に応じて電気伝導度、水温とpHの変化を検討した。流出成分の割合は融雪時と降雨時,無降雨時において変化がみられ,融雪時には押し出し流が認められた。柳井は微細土流出による陸域水辺生物相(魚類など)の変化実態を北海道の諸河川で観測し、その影響実態を検討した。山越は、粘着性土壌表面の過飽和層侵食低減を効果的かつ経済的に行う得る工法を提案するために、桜島野尻川流域の火山灰堆積物に対し、ワラ、バガスを添加することにより、菌類、藻類の繁茂を促進させ、室内侵食実験によってその耐侵食性効果が発現していることを確認した。菊池は有珠山2000年噴火に伴う降雨型泥流の微細土堆積が樹木根圏のガス交換に与えた影響を検討し、降雨型泥流により被覆された2000年降下堆積物は通気性が低いために根圏と大気とのガス交換が阻害され,根系が酸素欠乏した結果,樹木群の集団枯死が生じたことを明らかにした。新谷は微細土の流出実態、生物相の変化実態などをもとに微細土流出対策工の組み合わせによる流域スケールの微細土対策空間整備手法の考え方を整理した。
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