研究課題/領域番号 |
15380104
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 千尋 京都大学, 農学研究科, 助教授 (60263133)
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研究分担者 |
大澤 直哉 京都大学, 農学研究科, 講師 (10221821)
都野 展子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (60295102)
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キーワード | Amanita ibotengutake / Amanita pseudoporphyl / きのこ毒 / 昆虫相 |
研究概要 |
本研究では、きのこの毒成分に着目し、殺ハエ成分を含むきのこを利用する昆虫群集の特徴を捉える事を目的としている。本年度は、Amanita属菌の殺ハエ成分と知られているイボテン酸・ムッシモールの定量法の検討を行った。これらの化合物は従来、イオンペアークロマトグラフィにより分離し、UV検出器を用いて検出・定量する方法が一般的である。しかし、これら化合物のもつモル吸光度系数が低く、本法の検出感度は十分高いといえない。そこで、研究代表者らは、フルオレッサミンを用い、これら化合物を蛍光誘導体化し、HPLCならびに蛍光検出器を用いて分析する方法を検討してきた。本法は従来法に比べ約30倍の検出感度を有している。また、代表的な生態構成アミノ酸やアミン類の蛍光誘導体と明確に分離することが可能であった。しかし、本法を用い、きのこサンプル中のイボテン酸・ムッシモールの定量を試みた結果、サンプル処理法の違いで、分離パターンや定量結果に差が生ずることが認められた。原因を解析した結果、サンプルに含まれる塩類の作用によるものであることが判明した。そこで、サンプル処理方法を検討し、より簡便で高い再現性を持つように改善することを試みている。また、キャピラリー電気泳動やLC-MSによる分析方法も検討し、より簡略化した試料処理が可能な高感度分析方法を探索している。本年度の野外調査によって、きのこを利用する昆虫の子実体における生育場所分布は子実体の生育ステージごとにあるパターンを示していることが示唆された。特に、幼菌では昆虫の分布は比較的局在化していることがわかってきた。
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