研究概要 |
1、自生植物のデータベースの作成 Walkerの「FLORA OF OKINAWA AND THE SOUTHERN RYUKYU ISLAND(1976)」による自生・分布植物のデータベースを作成した。森林植物を中心としたすべての自生植物は221科1,052属2,560種で、この数は他の3文献(「琉球植物目録」「維管束植物集覧」「琉球植物誌」)と比較すると「琉球植物目録」に次いで多かった。 2、天然林の群落構造 沖縄島北部の森林地域に位置する琉球大学農学部附属亜熱帯フィールド科学教育研究センター、与那フィールドに設置した天然林固定試験地、15プロットの植生調査を行った。植生調査は天然林を4層に階層区分し、各階層の全出現種についてBraun-Blanquetの全推定法によって優占度・群度を測定した。全試験地ともイタジイを優占種とするリュウキュウアオキースダジイ(イタジイ)群団の林分構造をもち、ギョクシンカースダジイ群集、その他に区分される。この地域は建築材、家具材、器具材、薪炭材などに伐採された経緯があるが、再生林は国指定天然記念物ノグチゲラのような貴重野生生物が生息する状況に回復している。 3、天然林固定試験地の森林遷移調査 沖縄本島北部のイタジイを主体とする典型的な亜熱帯性天然広葉樹壮齢二次林に、20×20mの固定試験地を20プロット設定して林分構造の変移状況を調査している。本年度(2005年1月)はそのうちの3プロットについて毎木調査を行った。出現樹種数は25〜27種で1980年、1995年の調査結果と比較して若干増加傾向にあるが、ha当たり立木本数は4,025〜7,550本でわずかに減少傾向にある。平均胸高直径7.6〜10.0cm,平均樹高6.3〜9.0mはいずれも増加傾向にあるが、増加率は鈍化してきている。林分材積は217m^3〜345m^3で依然として増加傾向にある。台風の被害を受けたプロットにおいては上層大径木の被害の影響から林分内容の低下・減少が見られる。
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