研究課題/領域番号 |
15380111
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
新本 光孝 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (20045115)
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研究分担者 |
新里 孝和 琉球大学, 農学部, 教授 (50045118)
安里 練雄 琉球大学, 農学部, 助教授 (80222579)
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キーワード | 熱帯・亜熱帯 / 沖縄 / 自生植物 / 亜熱帯性天然広葉樹林 / 林分構造 / 樹種構成 / 資源植物 / 非木材林産物 |
研究概要 |
平成18年度は、最終年度にあたるので補充調査を行い、総合的な取りまとめを行った。 1.琉球列島総合植物目録及び特定植物群落目録の作成 沖縄県の主要島嶼の沖縄島、宮古島、石垣島、西表島を対象に、既往の著書を用いて植物分布の差異を明らかにしさらに沖縄県(1978)、環境省(1988)の報告書に基づき特定植物群落の分布の特性を類型化し、それぞれ「琉球列島総合植物目録」、「特定植物群落目録」としてデータベース化をはかり一覧表取りまとめ最終チェックを行いCD-ROMに記録した。 2.沖縄島、石垣島、西表島の天然林の資源植物分類 各調査地に出現した全植物について、資源植物分類を行った。利用率が高いのは木本植物で、I類では全器官とも用材、薪炭材、家具材、器具材など幹の部分がよく利用されている。II類は台風や冬季の強風にさらされる沖縄の自然条件から、防風防潮林、屋敷林、また夏季の強い日射にたいする日陰樹として公園樹、庭園樹などに利用される木本植物も多い。未経済植物の比率は草本植物、シダ植物で高く、園芸種など熱帯植物が多用される沖縄でこれら自生種の利用が今後の一つの課題であろう。 3.天然林固定試験地の森林遷移 林分内容の遷移は3プロットの1980、1995、2005の毎木調査結果に基づき、この間の樹種構成の変化や材積成長の推移を取りまとめた。3林分とも本数は減少傾向にあるが、林分材積は全体的には増加傾向にある。出現樹種は樹種により消滅・新加入の入れ替わりはあるが樹種数に大きな変化はなった。イタジイはどの林分でも主体をなしており、経年的に本数は減少しているが材積は増加している。 4.亜熱帯林の非木材林産物資源としてのリュウキュウイノシシ 西表島においては、現在バネ罠猟が普及しているが、バネ罠に用いる最適な樹種に、シマミサオノキ他5種があり、その他に、14種の樹種がある。バネ罠に用いられる樹種は、西表島の亜熱帯性天然林の低木層で出現度が高い。竹やツメなどに用いられるカンザンチクは、再生力が極めて低下している。持続的なイノシシ猟とするためには、島の生態系を考量しながら、イノシシ猟を行うことが重要であろう。
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