研究概要 |
1.琉球列島総合植物目録及び特定植物群落目録の作成 沖縄県の島嶼の沖縄島,宮古島,石垣島,西表島を対象に,既往の著書・報告書を用いて植物分布の差異を明らかにし,さらに,特定植物群落の分布の特性を類型化し、それぞれ「琉球列島総合植物目録」、「特定植物群落目録」としてデータベース化をはかった。 2.沖縄島、石垣島、西表島の天然林の資源植物分類 各調査地に出現した全植物について、資源植物分類を行った。利用率が高いのは木本植物で、I類では幹の部分がよく利用されている。II類は防風防潮林、屋敷林、公園樹、庭園樹などに利用される木本植物も多い。末経済植物の比率は草本植物、シダ植物で高かった。 3.沖縄島北部における天然林固定試験地の森林遷移 森林・林分の遷移は3プロットの1980年、1995年、2005年の毎木調査結果に基づき分析を行った。3林分とも本数は減少傾向にあるが、林分材積は全体的には増加傾向にあり,出現樹種は樹種により消滅・新加入の入れ替わりはあるが樹種数に大きな変化はなかった。イタジイはどの林分でも主体をなしており、経年的に本数は減少しているが材積は増加している。 4.亜熱帯林の非木材林産物資源としてのリュウキュウイノシシ 西表島におけるイノシシ猟は、圧し罠猟,イヌ猟,ハネ罠猟,銃器猟と変遷している。現在は,ハネ罠猟が普及している。ハネ罠猟ではシマミサオノキ他20種の弾力性の強い樹種が利用されている。猪垣は,石塁や斜面掘削,木柵などがあり,石塁の材料には砂岩,サンゴ,木柵にはサガリバナが利用されている。持続的なイノシシ猟を行うためには、島の生態系の維持・環境保全を考慮することが重要であろう。
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