研究課題/領域番号 |
15380113
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
楠木 学 独立行政法人森林総合研究所, 四国支所, 支所長 (20353667)
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研究分担者 |
青木 孝之 (独)農業生物資源研究所, ジーンバンク, 上級研究員 (80355726)
奥田 誠一 宇都宮大学, 農学部, 学部長 (90091941)
河辺 祐嗣 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, チーム長 (40343793)
野田 巌 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, グループ長 (00353805)
横井 寿郎 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 研究員 (60378867)
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キーワード | 樹木病原体 / Fusarium / phytoplasma / 樹木苗木流通 / 遺伝子解析 / マツ / 漏脂胴枯病 |
研究概要 |
マツ類漏脂胴枯病菌Fusarium circinatumの既分離菌株についてβ-チューブリン、TEF遺伝子等のDNA塩基配列を解析した。F.circinatumの日本、韓国、米国、南ア産の菌株は、β-チューブリン、TEF遺伝子とrDNA IGS領域でそれぞれ4〜5ハプロタイプに分かれた。ピストンH3以外の3領域を総合して最大節約法で解析したところ供試したF.circinatum菌株は大きく3群に分かれた。それぞれの群は高いブート・ストラップ確率で支持された。変異の地理的分布から菌種の移動ルートを考察した。 日本、台湾、韓国産の樹木病原ファイトプラズマ(以下:Pha)についてrDNAの塩基配列を比較した。ナツメてんぐ巣病の病原Phaである'Candidatus Phytoplasma ziziphi'は、日本と韓国産の16S rDNAの塩基配列が一致した。ナツメてんぐ巣病の日本での初発生は1987年であるが韓国や中国ではそれ以前から発生していた。また苗木の輸入実態調査で、過去にナツメが韓国から輸入された経緯が明らかになった。日本で発生しているナツメてんぐ巣病の病原Phaは、苗木と共に移入された可能性が示唆された。日本と台湾産の6樹種から採取したボルトノキ萎黄病の病原Phaは、日本産コバンモチの16S rDNAの塩基配列に2塩基の違いが認められたが、他の樹種のものはすべて同じであった。しかしITS領域の塩基配列の比較では、日本産はすべて同じ配列であるのに対し台湾産は相互に異なることから、この病原Phaは、日本では外来種で、台湾で長い定着の歴史を持つと考えられた。また樹木Pha病は、感染初期には明瞭な病徴を表さない例が多く、まして落葉状態では病徴判断の手がかりとなる葉すら付いていないので、樹木Pha病については苗木の輸入などの際に病原ファイトラズマ保毒の有無を調べるPCR等の検査が望まれる。
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