研究課題
基盤研究(B)
東アジア産の樹木ファイトプラズマ病について病原体のrDNA遺伝子解析により遺伝的変異を調べた。日本産と韓国産のナツメてんぐ巣病から検出された‘Candidatus Phytoplasma ziziphi'の16S rDNAの塩基配列はすべて一致し、最近発生が確認された日本では侵入種と考えられた。日本産と台湾産のホルトノキ等から検出されホルトノキ萎黄病ファイトプラズマは、16S rDNAの塩基配列にほとんど変異がないが、16S-23S rDNAのITS領域では、日本産には変異がないが台湾産で相当の変異があり、日本では侵入種の可能性が示された。日本、韓国、台湾産の樹木病害から検出された‘Ca. Phytoplasma asteris'は全て16Sr I-bのsubgroupに属し、東アジア産の特徴と考えられた。マツ類漏脂胴枯病菌Fusarium circinatumについては、ヒストンH3、β-チューブリン、等の遺伝子解析を行い、変異の地理的分布から移動ルートを考察した。F. circinatumの日本、韓国、米国、南ア産の菌株は、ピストンH3遺伝子では全菌株が同一の塩基配列であったが、β-チューブリン、TEF遺伝子とrDNA IGS領域ではそれぞれ4〜5ハプロタイプに分かれた。ヒストンH3以外の3領域を総合して最大節約法で解析したところ日本産菌株は大きく2群に分かれ、その一方は韓国産菌株の大部分と米国産、南ア産菌株の一部と同一の近縁群を形成した。また、韓国産の残り3菌株と米国産、南ア産の残り菌株が別個の群を形成した。本菌は米国からクローンとして日本や韓国に侵入し、個々の地域でさらに分化を進めている可能性が示唆された。このほか、台湾などからの樹木苗木の輸入実態と植物検疫体制について調べた。ナツメ苗木は、韓国から過去に輸入された例があることが分った。検査方法は個体の目視観察であるため、感染初期に明瞭な病徴を表さないファイトプラズマ病等では、検疫に際し、保毒の有無を調べるPCR等の検査が不可欠と考えられた。
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