研究課題/領域番号 |
15380130
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
古谷 研 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30143548)
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研究分担者 |
岸 道郎 北海道大学, 大学院・水産科学研究所, 教授 (90214767)
乙部 弘隆 東京大学, 海洋研究所, 助手 (10169328)
黒倉 寿 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (50134507)
高木 稔 岩手県水産技術センター, 漁場保全部, 専門研究員
小河 久朗 北里大学, 水産学部, 教授 (20005656)
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キーワード | 環境収容力 / 貝類養殖 / 海藻養殖 / 植物プランクトン / 複合養殖 / 物理-生態系モデル / 沿岸域 |
研究概要 |
三陸域における複合養殖で問題となっている底層での溶存酸素の動態および、貝類養殖の餌不足について検討した。まず溶存酸素については季節変動を明らかにする目的で秋期(11月)および冬季(2月)に約1ヶ月間現場溶存酸素計をホタテ、カキ筏下部の底層直上に設置し、連続観測を行った。併せて大槌湾口部に海底設置型音響ドップラー流速計を3台設置して流れ場の連続観測を行った。現在、これらの結果をもとに湾外からの溶存酸素の物理的な供給過程の解析と、物理-生態系モデルの改良を進めている。 貝類養殖の餌不足については陸域からの栄養塩負荷を利用する可能性を検討した。既存資料の解析から窒素、リン増加に対して相対的にケイ素が欠乏する傾向を認めた。ケイ素の欠乏は珪藻類の増殖を抑制し、植物プランクトン群集組成の変化をひきおこすと予想されるため、メソコズム実験により解析した。湾内の表層水200Lを等分し栄養塩を添加した。一方はf/20培地濃度相当に調整し、一方にケイ素添加区(6μM添加)、他方を非添加区現場条件で培養した。原水にはケイ素が2μM存在した。ケイ酸塩は両区とも4日目に枯渇し、Si+区では同時期にリン酸塩も枯渇した。最大Chl a濃度は約2.5倍の開き(Si+区/Si-区)があり、CHEMTAX法による色素組成解析の結果全Chl a量に対するケイ藻類の寄与はSi+区のほうが常に有意に高かった。珪藻の種組成の経時変化は両区で違いがみられず、最も卓越した種は細胞密度で珪藻類全体の88〜100%を占めたChaetoceros socialisであった。他の実験結果を総合すると、窒素、リン濃度に対するケイ酸塩濃度の相対的な変動は、珪藻の優占度を変えるが珪藻主体の種組成に影響を与えないこと、ケイ素の枯渇が持続すると珪藻類以外の藻類が主体の群集が形成されることが分かった。
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