研究課題/領域番号 |
15380130
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
古谷 研 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30143548)
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研究分担者 |
黒倉 寿 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (50134507)
乙部 弘隆 東京大学, 海洋研究所, 講師 (10169328)
岸 道郎 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授 (90214767)
小河 久朗 北里大学, 水産学部, 教授 (20005656)
高木 稔 岩手県水産技術センター, 漁場保全部, 専門研究員
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キーワード | 環境収容力 / 貝類養殖 / 海藻養殖 / 植物プランクトン / 複合養殖 / 物理-生態系モデル / 沿岸域 / 物質循環 |
研究概要 |
大槌湾の流れ場の観測およびホタテ貝の摂餌生理の実験的解析、3次元物理-生態系モデルの改良に重点をおいて研究を進めた。4月から10月に大槌湾中央部に3カ所、海底設置型ADCPを係留して流向・流速の連続測定を行った。昨年度実施した秋冬観測と併せて結果の解析を進めているが、これまでに年間を通して、海底付近から湾内に流入して表層から湾外に向けた循環流が卓越すること、内部潮汐も湾内外の海水交換に大きく寄与することが分かった。さらに北部から流入して南部から流出する水平的な循環流が新たに検出され、3次元的に複雑な流動が形成されていることが明らかになった。 ホタテ貝の摂餌では、餌密度と濾水速度に負の相関が、餌密度と濾過速度の間には正の相関が認められた。しかし、餌密度が高くなると濾過速度が餌密度に依存せず一定に近づくことなどから、ホタテガイは餌密度の増加に対して、摂食量の増加と濾水速度の制御で対応すること、濾水速度および濾過速度は、餌の種類よりは餌密度の影響を強く受けること、高い餌密度のもとでは濾過速度は一定になること、大槌湾では濾過速度の飽和はほとんどあり得ないことが明らかになった。 物理-生態系モデルでは、ADCP観測を用いた検証を可能とするための高度化を進めた。その結果、吹送流の発達状況の再現が不十分であることが分かり、風による海面せん断応力の評価が不適切であること、鉛直渦動粘性係数のモデル化に風の影響が直接反映されていないこと、実際の風は空間分布をもつが,計算においては全領域一様の風を与えていることに原因を求め、改良を進めた。また、湾外の海象の影響で、湾内外の海水交換がイベント的に起こり、これが大槌湾の物質循環に重要であることが判明し、これをモデル計算にどのように組み込むかが次年度への課題として残った。
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