研究課題/領域番号 |
15380132
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
福代 康夫 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 教授 (10165318)
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研究分担者 |
児玉 正昭 北里大学, 水産学部, 教授 (40050588)
松岡 數充 長崎大学, 環東シナ海海洋環境資源研究センター, 教授 (00047416)
緒方 武比古 北里大学, 水産学部, 教授 (00104521)
黒倉 壽 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (50134507)
古谷 研 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30143548)
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キーワード | 有毒渦鞭毛藻 / 東南アジア / 広域化 / 渦鞭毛藻 / シスト / 表層堆積物 / 赤潮 / 有毒赤潮 |
研究概要 |
平成16年度に引き続き、東南アジアに発生している有毒・有害渦鞭毛藻に起因する問題について、情報収集を行うとともに、広域化の時期あるいは機構を探る目的で、マレーシアのサバ州のコタキナバル周辺4ヶ所で採取した海底堆積物中のシスト分析、およびフィリピンのパラワン島とサマール島で試料採集を行った。 西太平洋海域に発生する麻痺性貝毒原因種は、従来から広い海域で認められていたPyrodinium bahamenseに加えて、渦鞭毛藻のGymnodinium catenatumとAlexandrium minutumやA.tamiyavanichiiなどAlexandrium属の数種が認められた。また、ベトナム沿岸から有毒と報告されているA.leeiの培養株を確立することができた。 マレーシアのサバ州沿岸域で、平成17年2月に採集した海底堆積物中の渦鞭毛藻のシストは、ペリディニウム目12種、ゴニオラックス目11種、ギムノディニウム目1種など20種余りが確認されたが、その中に堆積している有毒種Pyrodinium bahamenseのシストの占める割合は少なく、場所による差はあるものの3.6%から6.0%であった。同海域ではP.bahamenseの赤潮がしばしば報告されているので、同種のシストが少ない原因は、海流による移送など海洋の物理的特性から検討する必要が認められた。なお、同海域の海底泥の堆積速度は毎年約1.5cmとかなり大きく、これもシストが少ない原因の一つと考えられた。 この他、記憶喪失性貝毒の原因珪藻であるNitzschia navis-varingicaを原記載地のベトナム北部のほか、わが国三陸沿岸から沖縄、フィリピンなどアジアの熱帯域にまで広く分布することを確認した。さらにフィリピンで採取した同種はドウモイ酸ばかりでなくその誘導体を持つことが明らかにした。
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