クエ稚魚、シマアジ稚魚及びブリ幼魚を供試魚として、餌料起原フリーラジカルの魚類の病理と生体防御能に及ぼす影響について検討した。得られた主な結果は以下のとおりである。 (1)クエでは、飽食給餌により摂餌率が顕著に低下したが、シマアジ及びブリでは明瞭な変化は認められなかった。 (2)市販配合飼料による飽食給餌によって、クエでは成長の抑制と発死が発生した。シマアジ及びブリでは艶死は発生しなかった。 (3)光顕及び電顕観察の結果、酸化油(リノール酸メチル)を経口投与したブリおよびクエでは、肝細胞および腸上皮細胞において細胞膜及び膜性小器官が傷害され、ブリの肝臓では広範な肝細胞の壊死が観察された。 (4)酸化油(リノール酸メチル)を経口投与したブリでは、成長阻害を受けない濃度においても、凝集抗体価と好中球の殺菌能が低下することが明らかにされた。 以上の結果から、餌料起原のフリーラジカルは消化器系を傷害し、生体防御機能を低下させることにより、疾病発生に深く関わっていることが示唆された。また、過酸化脂質を含む市販の配合飼料は、高い給餌率の下では生体防御機能の低下と死亡をもたらす可能性があることが示唆された。
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