研究概要 |
15年度はsn-2位DHA結合型リン脂質に富むイカミールリン脂質をリポソームにしてを経口投与し,その腫瘍抑制効果をAHCC(キノコ由来グルカン)と比較する実験を行った。また,イカミールリン脂質リポソームの経口投与が,腫瘍壊死因子α(TNF-α)やインターロイキン(IL-12)の産生に及ぼす影響についても,一部調べた. Colon 20を5×10^5個ずつBALB/cマウスの背部に皮下移植し,イカミールリン脂質リポソーム含有水摂取群,AHCC含有水摂取群,AHCC包摂イカミールリン脂質リポソーム含有水摂取群,そしてコントロール群に分けて飼育した.体重及び腫傷の大きさを経時的に計測し,屠殺時のTNF-α及びIL-12量を測定した.また,小腸上皮モデルを用い,各リン脂質リポソーム及びリン脂質ミセルの通過能も調べた. 以上の結果,体重変化及び飲水量には群間の有意差は認められなかったが,屠殺時(13日目)の腫瘍サイズはイカミールリン脂質リポソーム含有水摂取群で最も小さく,AHCC群がこれに次いでいた.小腸上皮モデル通過能はリポソーム中イカミールリン脂質群が最も優れ,合成sn-2位DHA結合型リン脂質群がこれに継いでいた.大豆リン脂質群はこの両者よりも劣っていた.IL-2はイカミールリン脂質リポソーム含有水摂取群及びイカミールリン脂質リポソーム+AHCC含有水摂取群で有意に高く,TNF-αはAHCC群で有意に減少した.以上より,イカミールリン脂質リポソームの経口投与が大腸由来のガンの抑制に有効であることが示唆された.
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