研究課題
基盤研究(B)
麻ひ性貝毒はAlexandrium tamarenseなど有毒渦鞭毛藻が生産すると考えられている。筆者らはA.tamarenseの細胞内より分離した細菌、PTB-1が微量ではあるが麻ひ性貝毒の一成分であるsaxitoxin (STX)を認めた。この事実はA.tamarenseなど有毒渦鞭毛藻の持つ麻ひ性貝毒が細胞内細菌に由来することを示唆する。しかし細菌の毒生産量は著しく小さく、その量でA.tamarenseの持つ毒量を説明することは不可能である。しかしこの事実は、細菌が麻ひ性貝毒の素となる物質を生産し、これを有毒渦鞭毛藻が毒に変えていると考えると、矛盾なく説明することができる。本研究ではこの仮説を基に、細菌中に麻ひ性貝毒を構成成分とする成分を検索した。このような成分を検出するため、筆者らが発見したSTXの11位の炭素にチオール化合物が特異的に結合する反応を利用して抗原を作成してSTXに対する優れた特異抗体を得た。次に本抗体を用い、抗体と結合する細菌成分の検出を行い、上記の仮説を支持する細菌のタンパク成分に抗体と結合する成分のPSP存在を明らかにした。次に、タンパク質成分に麻ひ性貝毒が結合していることを明らかにするため、同タンパク成分を含むタンパク画分を非特異的タンパク分解酵素で消化し、分解物中に抗体と結合するタンパクフラグメントが遊離するかを検討した。その結果分解物中に抗体と結合する成分が低分子物質として出現することを確認したので同成分の分離を試みた。同成分はクロマト的に同様の性状を持つ種々のタンパク分解物と共存するため通常の方法では分離は困難であった。そこで特異抗体を用いる免疫沈降法を適用したところ、同成分はワンステップで単離できることが明らかになった。今回は同成分の構造を明らかにすることはできなかったが、今後精製した同成分を分析に必要量集めその構造を明らかにする。
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Taiwan-Japan International Symposium on Marine Biotechnology and Its Application, Taiwan, ROC abstract
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Taiwan-Japan International Symposium on Marine Biotechnology and Its Application, Taiwan, ROC.