研究課題/領域番号 |
15380145
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
水産化学
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
神谷 久男 北里大学, 水産学部, 教授 (80011964)
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研究分担者 |
酒井 隆一 北里大学, 水産学部, 助教授 (20265721)
神保 充 北里大学, 水産学部, 講師 (10291650)
小池 一彦 北里大学, 水産学部, 助教授 (30265722)
丸山 正 海洋研究開発機構, 海洋生態環境研究部, 研究部長 (90373464)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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キーワード | シゲミカタトサカ / Symbiodinium / Theonella / トゲクサビライシ / 共生 / 八放サンゴ / 六放サンゴ |
研究概要 |
SLL-2のメラニン化を防ぎ、高収率の精製法を確立した。構造を精査した結果、SLL-2は分子量122Kの糖タンパク質で、それぞれ等モルのサブユニット2a、2b、2c9個から分子が構成されていることがわかった。フロンタルアフィニティークロマトグラフィーにより、SLL-2の各種糖鎖に対する結合性を調べた。その結果、SLL-2はGal α 1-3(Fuc α 1-2)Gal β 1-4(Fuc α 1-3)Glcに高いKa値を示した。また、GalNAc α 1-3 GalNAcをもつForssman抗原に結合性を示したほか、Gal α 1-3 Gal構造をもつ糖鎖との結合性を示した。これらのSLL-2と高い結合性を示す糖鎖はいずれも糖脂質由来のものであり、SLL-2は共生藻表面糖鎖の糖脂質と結合するものと推測された。二次元電気泳動法によりSLL-2処理して得られたSymbiodinium培養細胞のタンパク構成成分を調べたところ、培養細胞の日周変化により形成される栄養細胞のパターンと類似しており、遊泳細胞とは泳動パターンが異なることがわかった。また、SLL-2処理によって誘導された栄養細胞には培養細胞とは異なるタンパク成分が存在することが認められた。これらのタンパク質成分の本体について現在検討を加えているので、宿主内の共生藻が栄養型のまま留める機構についての知見が得られる可能性がある。 一方、六放サンゴ類についてもレクチン活性と形態制御活性を検索した結果、トゲクサビライシのレクチンもSLL-2と同様の形態制御活性が示すことがわかった。また、Theonella属海綿に認められたSymbiodinium JCUCS細胞の形態制御物質の本体は既知のデプシペプチド類(TP類)であることを確認した。TP I dおよびTP1436は濃度依存的に遊泳細胞から栄養細胞へと形態を転換させ、細胞増殖の抑制を示すことが明らかとなった。この活性は可逆的で、処理JCUCS細胞は洗浄することによって正常な日周的な形態変化、増殖を回復した。そこで、各種細胞阻害剤の形態制御活性を調べたところ、Latrunculin Aなどのアクチン制御成分がTPと似た遊泳細胞の栄養細胞への形態変化を示素ことを確認できた。また、プロテインキナーゼ阻害剤であるBisindolylmaleimide Iも同様の活性を示した。いずれも洗浄によって正常な増殖過程に回復した。このことからSymbiodinium遊泳細胞から栄養細胞への転換にはミクロフィラメント構造の変化が密接に関連することが示唆された。
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