研究課題/領域番号 |
15380146
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
永木 正和 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (90003144)
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研究分担者 |
納口 るり子 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教授 (00323246)
茂野 隆一 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教授 (60292512)
石 敏俊 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教授 (90282318)
横川 洋 九州大学, 農学研究院, 教授 (30007786)
石田 正昭 三重大学, 生物資源学部, 教授 (80144228)
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キーワード | 循環型農業 / 法人経営 / 地域農業 / PPP原則 / 持続的農業 / 緑色野菜 / GAP / トレーサビリティ |
研究概要 |
今年度は、本研究2年目の年であり、個別課題の推進に向けて、主として個別活動に専念した。 1)研究会の開催 8月に筑波大学で研究会を開催した。それぞれの分担課題を確認し、研究の進捗度合いを報告し、これについて討論した。また、循環型社会における「日本的」な意味を考え、その農法についても討議した。 2)個々の研究活動の主な成果 (1)国内地域農業(永木正和、納口るり子):畜産を軸にした地域循環型農業の展開図式を事例調査から分析した。その中で、資源化するための技術、その活動に経済性を見出すためのインセンティブやその要件を考察し、「核」あるいは推進エンジンになる経営体は、十分量の資源を安定産出する規模、資本力を有する経営体(いわば大規模農業法人)であること、第二に、有機農業、ないし減化学肥料・農薬の農業経営は、その農産物を付加価値化するために加工・直販といった「垂直的多角化」が、有力な方策であることを論証した。 (2)国内マクロ経済と農業(茂野隆一、小田滋晃、合崎英男):農場で産出する廃棄物を工場廃棄物と同様に見なしての、PPP原則に基づく農家の全面的自己負担では廃棄物処理は、循環型農業を形成しえない経済構造にあることを明らかにし、廃棄物の資源化とその流通を促す地域施設へのインフラ整備の資金需要を実証した。 (3)アジア農業(木南章、石敏俊、吉田謙太郎):中国の長江流域の緑色野菜産地の調査から、その実態と動向を明らかにした。集約的な野菜作は地力を疲弊させつつあるが、むしろそのことが有機肥料による土作りの誘引になっている地域と、一層の化学肥料投入型野菜作地域に二分されつつあることを明らかにした。なお、輸出用有機野菜産地では、日本等、外国の有機農産物基準を満たす営農技術、信頼性の高い検査体制が整備されてきたこと、それによって、今後、日本国内の有機野菜生産に大きな影響が出そうなことが明らかになった。 (4)EUの持続的農業(横河洋、加賀爪優、淡路和則):EUのGAPとトレーサビリティを調査し、取りまとめている。有機農業への取り組みは進んでいるが、有機認証を取得している農場割合はまだ少ない。また、多面的機能への認識も十分に高いものではなかった。しかし、EUでは地域的な環境保全への取り組みが進んでおり、もはや地域社会活動にシステム化されている環境保全活動の一環として農業経営活動が組み込まれており、その背景の下に、市民と農業者のGAPコンプライアンスが形成され、トレーサビリティが機能していた。
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