研究課題
基盤研究(B)
本年度は理論的検討を進めるとともに、実態調査によって農村共有資源の社会経済構造を明らかにした。(1)国内外の共有資源に関連する文献を収集して、「コモンズの悲劇」に関する学説史を確認し、今後の本研究の中心となる比較制度分析モデルの構築に努めた。特に近年発展が著しいゲーム理論に基づくモデルを吟味した。またわが国の入会林野と英国の里山管理について制度構造の比較検討を行った。(2)わが国の典型的な農村共有資源について現地調査を行い、様々なタイプの農村共有資源における開発・利用・保全の実態を明らかにした。(1)岩手県A町の牧野組合 入会牧野の管理運営は戦後設立された牧野農協によって草地管理だけでなく、森林管理も含めた多部門の地域資源の維持管理活動が行われている。(2)大分県K町・N町の牧野組合 広域草地開発事業が導入された結果、入会は農事組合法人のメンバーシップとして制度化された。その後、構成員が異質化して資源の利用・保全ルールを変更しなければならなくなっている。(3)香川県K町のため池土地改良区 当地区は奈良時代に建造されたM池の水利組織であるが、広域の香川用水からの給水を受けることになり、より広域な用水管理システムに組み入れられることになった。(4)滋賀県R市の生産森林組合 当入会林野はもともと財産区管理されていたが、町村合併時に一時的に神社有となり、その後生産森林組合に改組されることになった。組織形態は、形式は変化しているが実質は不変である。(5)兵庫県K市のため池土地改良区 当地区ではエコミュージアムの取り組みが進められていて、ため池群が有する景観や生物多様性保全などの多面的機能が徐々に認識されるようになった。(3)中国雲南省での共有資源管理の実態を現地調査するため、予備調査を実施して現地の選定を関連情報の収集を行った。
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