研究課題/領域番号 |
15380148
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
泉田 洋一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (10125809)
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研究分担者 |
万木 孝雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30220536)
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キーワード | 農村金融 / ソーシャルキャピタル / マイクロファイナンス / 開発金融 / 国際比較 / 交換労働 / ベトナム / むら |
研究概要 |
本研究の目的は、農村金融における「むらレベルでの共同性」(既存の研究ではより広く捉えられているかもしれないが本研究ではこれをソーシャルキャピタルの内容と把握しておく)が農村・農業金融のあり方にいかなる影響を与えているかについて、東南アジア、日本、中国、アメリカ等の事例をとりあげて比較研究するものである。本年度は研究初年度ということもあり、文献探索を通じたソーシャルキャピタルの内容規定、その実際的なとらえ方、および翌年度での調査準備を中心に研究をおこなった。まずベトナムについては泉田が7月に大学院生と(蒲田)実態調査を行い、ベトナム農村金融の現状、とりわけ2003年に設立されたベトナム社会政策銀行について、そのオペレーション、現場での機能、銀行設立のNGOマイクロファイナンスへの影響等を調査した。これはひとまず専攻のWorking Paperとして"Programmed Lending For Social Policies"という論文にまとめている。カンボジアについては院生の若林が2度にわる克明な調査を実施し、ソーシャルキャピタルの具体的な発現形態である農業交換労働の経済価値を評価する試みを行った。この成果は農業経済学会で報告する予定である。バングラデシュでは助手の豊田秀夫がマイクロファイナンスと農村の共同慣行との関係を調査する予定であったが、豊田の転職(バングラデシュの日本大使館)によって中断している。この調査は次年度バングラデシュ出身のTazul Islam氏がJSPSポスドク研究者として本研究に加わることで、再開したいと考えている。またフィリピンについては新保がマイクロファイナンスを実施しているNGOを予備的に調査し、次年度の本格調査につなげる予定である。中国については同じく大学院生の毛慶森が福建省で農家の危険対処作としてのソーシャルキャピタルの調査を行った。アメリカについては万木助教授がアメリカの農村金融システムについて克明な調査を行い、次年度以降、日本の農村金融との比較を試みる予定である。また大学院生の宮西は沖縄波照間島における農村の労働交換慣行の変容を調査し、次年度以降の本格調査につなげて行く予定である。この調査の一部は今年度の農業経済学会で報告される。
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