研究課題/領域番号 |
15380150
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加賀爪 優 京都大学, 農学研究科, 教授 (20101248)
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研究分担者 |
沈 金虎 京都大学, 農学研究科, 講師 (70258664)
鬼木 俊次 農林水産政策研究所, 評価・食料政策部, 主任研究官 (60289345)
鈴木 宣弘 九州大学, 農学研究院, 教授 (80304765)
仙田 徹志 香川大学, 農学部, 助教授 (00325325)
山田 伊澄 農業工学研究所, 農村計画部, 研究員
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キーワード | 菜の花プロジェクト / バイオ・ディーゼル燃料 / カーボン・ニュートラル / 退耕還林 / 生態移民 / 資源循環型農林業 / バイオガス / ミニマム・アクセス |
研究概要 |
WTO体制下で環境保全と貿易自由化が交渉される中で、日本、中国および欧州における条件不利地域対策の現状と問題点について比較研究した。日本では、滋賀県愛東町で始められた「菜の花プロジェクト」や「品目横断的経営安定対策としての日本型直接支払い制度」の実態と課題について注目し、中国においては「退耕還林」や「生態移民」について、現地調査によるアンケート調査を行った。さらに、欧州では、主としてドイツやデンマーク等における「資源循環型のリサイクル農林業活動」について調査研究を行った。 滋賀県の「菜の花プロジェクト」は、ガット/WTOのウルグアイ・ラウンドにより米のミニマムアクセス輸入が開始されたため、米の生産調整による耕作放棄地が累積してきた。そこで、休耕田に菜の花を植え、使用済みの廃食油を回収して、その固形成分から琵琶湖の水質を悪化させない植物性の石鹸を作り、さらにその液体成分からは、バイオ・ディーゼル燃料という石油代替燃料を合成して、公用車、バス、トラクター等の動力源として利用している。このBDFは、排気ガスとして二酸化炭素も放出するが、それは菜の花が休耕田で栽培される過程で大気中から吸収したものであり、石油の場合と違って、大気中へのCO2排出を純増させるわけではない。カーボン・ニュートラルであり、地球温暖化を軽減する効果を持っている。この活動は、元来、ドイツで先進的に始められたものであり、また、デンマークでは、畜産糞尿を発酵させてバイオ・ガスによる発電と発熱事業として実施されている。さらに、中国の「退耕還林」や「生態移民」は環境保全と貧困救済対策として実施されている。 これらの何れも、環境保全や地域資源の循環型有効利活用としては大きな成果を挙げているが、経済的採算性が合わず、補助金に依存している。こうしたプロジェクトの経済的波及効果の評価とその採算性の改善策について検討した。
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