研究課題/領域番号 |
15380151
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
末原 達郎 京都大学, 農学研究科, 教授 (00179102)
|
研究分担者 |
池上 甲一 近畿大学, 農学部, 教授 (90176082)
重田 真義 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教授 (80215962)
廣岡 博之 京都大学, 農学研究科, 教授 (60192720)
岩崎 正弥 愛知大学, 経済学部, 助教授 (40221791)
杉村 和彦 福井県立大学, 学術教養センター, 教授 (40211982)
|
キーワード | 農学 / フィールドサイエンス / 農業教育 / 空間論 / 耕畜連携農業 / 地域エネルギー / オルタナティブ・トレード / 持続可能性 |
研究概要 |
初年度の主要な研究成果は以下の4点に要約することができる。 (1)農学をフィールドサイエンスとして捉えなおすために農学そのものの再検討を行うという観点から、まず途上国の農学・農業研究についてサーベイし、その特質を明らかにした。このことにより日本の農学を相対化するための手がかりを得た。途上国の農業・農村については、サブサハラ・アフリカにおける小農の行動原理に焦点をあてた研究の他に、マレーシアのオイルパームと反芻家畜の連携や畜産環境問題に関するフィールド調査の実施の可能性について現地の研究者と研究協議を行った。 (2)日本の農学は農業から乖離しつつあり、長期的な針路を示しきれないでいる。それゆえ、農業教育のあり方や農業技術論、農業の意味論を通じた農学・農業の再定義が必要である。本年度はさしあたり初等教育における農業の取り扱われ方を分析し、農業に与えられる意味の変遷と社会的位置づけの変化を明らかにした。 (3)フィールドに根ざすと、環境や景観に加えて、エネルギーや新材料創出のように可視的な分野と、教育、文化や福祉などのように非可視的な分野の両面において、相互に融合した多様な農業の存在形態が見えてくる。本年度はそうした動きの実態をできるだけきちんと把握・記録することに努めた。具体的には耕畜連携農業、水や地域エネルギー資源、ソーシャル・キャピタルの保全・利活用などを対象に研究を進めた。 (4)同時に、フィールドサイエンスへのアプローチや理論化に向けた方法論的検討も意識している。とくに、貿易から広義の交易へ至るオルタナティブ・トレードの枠組み及び、「経済のしくみ」「共同体倫理」「生活美としての景観」という3つの視角から農山村における「場所性」の形成について研究を深めた。
|