研究課題/領域番号 |
15380151
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
末原 達郎 京都大学, 農学研究科, 教授 (00179102)
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研究分担者 |
廣岡 博之 京都大学, 農学研究科, 教授 (60192720)
重田 真義 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教授 (80215962)
池上 甲一 近畿大学, 農学部, 教授 (90176082)
杉村 和彦 福井県立大学, 学術教養センター, 教授 (40211982)
岩崎 正弥 愛知大学, 経済学部, 助教授 (40221791)
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キーワード | フィールドサイエンス / 社会農業構造(SAS) / 動態的研究 / EU / コミュニティ・レベル / 日本の農村 / 平成の市町村合併 / 都市と農村 |
研究概要 |
本年度の主要な研究成果は、以下の4点にまとめることができる。 (1)フィールドサイエンスとしての農学の分析法として、「社会農業構造(SAS : Social Agricultural Structure)」という概念が有効であると提示した。この概念は、マクロ的経済分析や社会分析と、個人に依存した経済分析や社会分析の中間に位置し、農業生産を中心にした社会構造や経済構造の内部を明らかにできる。この概念を、静態的なものとしてではなく動態的なものとして捉え、その動態的変動を分析することで比較研究が可能になる。 (2)地球規模で拡大を始めた市場経済のシステムが、国家という枠組みを超えて農業の分野に進出してきている。この点を本年は、ヨーロッパとアジアの両面から実際に調査し、分析した。特にヨーロッパでは昨年度のフランスとの対比させる意味からイギリスを選び、同じEUという枠組みの中でも、両国における相違を明らかにした。 アジアでは、昨年のマレーシアに比較する意味でインドネシアを選び、アジアの発展途上国内部における社会農業構造の比較を行ない、両国の特色を明らかにした。 (3)日本の農村における、文化としての農業に関する本格的なフィールド調査を、北海道、中国、中部、北陸、近畿の各地方において、コミュニティ・レベルで行なった。特に、昨年今年と、平成の市町村合併により地域社会の再編が行なわれており、多くの自治体が消滅し、新しい自治体へと編成されつつある。この時期における、各地域社会のアイデンティティをどう存続さすのか、どのように農業と結びつき新しいものを創り出すのかを分析した。 (4)都市と農村の関係性の問題を、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、日本を対象に比較研究を行なった。日本における都市と農村の関係性は、対立するのではなく包摂しあうところにあると指摘した。
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