研究課題
本年度は、島根県大田市の三瓶牧野・熊本県の阿蘇牧野・高知県の柏島という本研究の実態調査のとりまとめと比較検討作業をふまえて、社会学的コモンズ論および経済学分野におけるコモンズ論の検討、ならびに法学における入会権論、とりわけ日本における法学的入会権論の源流である中田薫の入会権論や戦後における川島武宜の入会権論などを検討し、あらたなコモンズ論構築の可能性について分析した。その結果、それぞれのフィールドで伝統的な入会集団は衰退し組織的にも形骸化しているにもかかわらず、地域の自然を保全しようとする新たな活動が展開されている地域も多く、その場合には旧入会権者だけではなく、地域の住民や都市市民などもボランティアとして大きな役割を果たしており、コモンズの管理主体に大きな変動が生じていることが明らかとなった。このような実態的変化を理論化するためには、農耕という生産のための共同性を基礎として成立する地縁的共同体ではない新しい共同性の基礎を設定する必要があること、その新しい共同性は主に地域に居住する人々の「生活」における関係性を」を基礎に構成しうる可能瀬があるのではないかと考えられること、が明らかとなった。今後、この観点からさらなる理論の構築を進めることになると思われる。
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コモンズ論再考 (印刷中)
龍谷法学 38巻2号
ページ: 1-52
海洋と生物 27巻5号
ページ: 472-477
Journal of rural problems vol.41 No.1,
ページ: 18-184
農業および園芸(養賢堂) 80巻11号
ページ: 1149-1150