研究分担者 |
柏 雅之 茨城大学, 農学部, 助教授 (40204383)
田中 裕人 東京農業大学, 国際食料情報学部, 講師 (00339095)
熊谷 宏 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (20003139)
浅野 耕太 京都大学, 大学院・地球環境学堂, 助教授 (50263124)
佐藤 和憲 中央農業総合研究センター, 総合研究第4チーム, チーム長 (80355601)
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研究概要 |
本研究は,わが国中山間地域再生のための新たな農村マネジメント主体の形成可能性について解明することを目的とする。そこでのポイントは、行政(自治体、国)、コミュニティ・民間非営利・民間営利の各セクター間における協働システムであり、こうした異種セクター間のパートナーシップのあり方と可能性を解明することである。本年度は,主として市町村農業・農村振興公社を研究対象として,その地域戦略機能,担い手インキュベーション機能,経営管理機能について分析を実施した。また,EUの地域振興政策における公私混合経営体の役割評価,生態系保全のための自治体間の所得移転政策の妥当性評価,地域内発的アグリビジネスの事業展開評価,NPO法人による緑化ボランティア養成研修の評価,住民が主体となって進めているエコロジカル・コミュニティ創造活動の評価等について,理論的な整理を行うとともに,その実態を調査した。 特にユニークな市町村農業振興公社の事例として,農作業受託などの直接的な農家支援事業を一切行わず,地域農業の戦略策定による担い手農家の支援を実施している新しい公社活動を調査した。この事例では,地域農業施策の策定,担い手農家への農地集積,都市住民と農家との交流,ブランドづくりとマーケティング,地域資源循環型農業の確立,農家の情報発信の支援,農用地利用ルールの確立など実に様々な戦略的な活動を,担い手農家が主導しながらそれを公社がサポートするという推進体制で実施している。 また,公社のインキュベーション機能については,農作業の受託を中心に実施している公社活動を分析した。当該公社では,公社職員に担当地区を任せる「地区ブロック担当性」を採用してコスト意識を高めるとともに,将来的には職員に受託した農地を株分け転貸して独立させる担い手インキュベーション機能を果たしている。
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