研究課題
基盤研究(B)
本研究の課題は、これまでの農業政策・貿易政策研究が一国内にとどまりがちであったことを反省し、先進国だけではなく途上国も含む多数の地域や国から構成される国際農産物市場と、それに参加する国々の国内農業政策・貿易政策との相互依存関係と諸政策の経済効果を数量的に把握することである。本年度は、(1)まず、対象各国の農業政策・農産物貿易政策について既往の定性的な分析を検討すると同時に、生産要素賦存量、各国の発展段階、国民の消費嗜好に関するデータ整理を行った。さらに、各国の農業生産構造や農産物消費構造を数量的に解明する鍵となる各種弾力性についてサーベイを開始した。このうち最も早く文書としてまとまった日本についてのサーベイ結果は、Chino, Kato & Kodamaにまとめられている。(2)次に、国内農業政策を組み込んだ部分均衡分析による農業政策評価モデルとして、小林のモデルをアップデートしつつ、このモデルの構造を詳細に検討し同モデルの各国への適用方法を探った。小林モデルは日本の畜産部門を対象としており、OECDで採用されているPEMモデルと同構造を持っており、農業政策の国際比較分析のためにはもっとも適したものの一つである。(3)また、各国別の農業政策モデルを国際市場でリンクさせるためには、国際市場モデルも必要である。これについては、大賀の作成によるIFPSIMモデルの推定とシミュレーションをパソコン上で簡易に実行できるようなプログラムの移植作業も進行中である。
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