研究課題/領域番号 |
15380160
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
登尾 浩助 岩手大学, 農学部, 助教授 (60311544)
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研究分担者 |
阿部 芳彦 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 教授 (00005472)
古賀 潔 岩手大学, 農学部, 教授 (70091642)
颯田 尚哉 岩手大学, 農学部, 助教授 (20196207)
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キーワード | 亜酸化窒素ガス / 硝酸態窒素 / 家畜ふん尿 / 地下水 / ボーエン比法 / エネルギー収支法 / 連結モデル / 温室効果ガス |
研究概要 |
家畜ふん尿の処理法として農地への還元は、作物への肥料効果を望めるだけでなく非常に安価な処理法である。しかし過剰な還元は、ふん尿を起源とした硝酸態窒素による地下水や地表水汚染を引き起こす危険性があるので、適切な管理を行う必要がある。これまでの研究から本試験地においては、硝酸態窒素は表層においてほとんど消失することが分かっており、本年度の研究からこの表層における消失は脱窒に起因することが判明した。従って脱窒過程から亜酸化窒素ガスの発生が予想されるが、本年度はガスクロマトグラフの据付と調整に手間取ったので、試験地からのガスフラックスの把握はできなかった。また、試験地における水収支と物質収支を把握するためには、蒸発散量を正確に推定する必要がある。蒸発散量の測定に基準として使われるボーエン比法と気象条件のみから蒸発散量を推定するエネルギー収支法を比較した。晴天の日中にエネルギー収支法は正味放射量を幾分過大評価する以外は、両法による顕熱フラックス・潜熱フラックスは非常によく一致した。従って、気象条件の測定から正確な蒸発散量の推定が可能であることがわかった。さらに、還元管理を効果的に行うためにはシミュレーションモデルの援用が必要不可欠である。2次元土壌中における水分・溶質・熱の連結移動を表すモデルの原型が完成した。既知のパラメータを使った計算では妥当な結果を得ることができた。今後はこのモデルに窒素形態の変化・亜酸化窒素ガス発生・蒸発散による水分・溶質の移動を考慮したモデルを構築する。また、開発したモデルの有効性を試験地土壌を使って把握するための土壌カラム実験を行った。初期状態のカラム内水分・塩分量を一定に分布させることが極めて困難であることが、TDR法を使った水分・塩分測定から判明した。従来の実験では一様に分布していると仮定していたので、この発見は重要である。
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