研究分担者 |
原田 昌佳 国立大学法人鳥取大学, 農学部, 助手 (80325000)
四ヶ所 四男美 国立大学法人九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (80038265)
森 健 国立大学法人九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (50117272)
平松 和昭 国立大学法人九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (10199094)
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研究概要 |
閉鎖性水域における水環境要素の動態特性の把握とその変動予測を目的として,現地観測,水理模型実験ならびに数理モデルの構築を行った. 1)汽水湖の現地観測と数値実験 湖山池最深部において水質調査,微気象観ならびに生物調査を行った.植物プランクトン優占種の季節的消長の観点から湖山池の水環境について検討した結果,植物プランクトンの増殖に関わる環境因子を抽出し,とくに藍藻類とTN, TP,クロロフィルaとの有意な関係を見出した.また,カオス工学の分野で開発された予測手法であるLocal Approximation法を用いてDOの短期予測を行い,その有効性を示した.つぎに,東郷池を対象に吹送流と塩分輸送に関する3次元解析モデルを構築し,風速によって海水の進入形態や水域の成層化に違いが生じることが示した. 2)有明海の数値実験 有明海北部を対象に,船底防汚塗料等を起源とする有機スズ(TBT)の環境動態と運命を数値シミュレーションによって検討した.まず,非定常平衡の仮定の下,表面ミクロ層,水,浮泥層,底質,以上の4個のコンパートメントからなるマルチコンパートメントモデルを構築した.次に,有明海北部の水中及び底泥中のTBT濃度の実測値からTBT負荷量の逆推定を行った.逆推定には遺伝的アルゴリズムを用いた.さらに,船底防汚塗料が現時点で全く使用されなくなったとする簡単なシナリオの下でTBT濃度の将来予測を行った.本モデルは,その簡単なモデル構造にもかかわらず,TBTの環境動態や運命の推定さらにTBT汚染の将来予測に有効であることが示された. 3)水理模型実験 水草の水面占有率が閉鎖性密度成層水域における吹送流の乱流構造に及ぼす影響について検討した.乱流エネルギー収支の鉛直構造は,水草の占有率の増加にともない,水草のない場合のそれに比べて,とくに水面および密度界面近傍で差異が顕著になることを明らかにした.
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