研究概要 |
1.焼却灰からの重金属および塩類の溶出特性 焼却灰からの重金属と塩類の溶出を連続バッチ試験とカラム試験により調べた。バッチ試験については,硝酸で調整したpH2,3,4,5,純水(pH5.8),カラム試験についてはpH2と純水を溶媒として用いた。バッチ試験は洗浄回数は100回とした。溶出水のpHは,pH2の溶媒では最終的に3以下にまで低下するが,その他の溶媒では9以上を維持した。CuとZnの溶出濃度は,pH2よりpH3以上の溶媒の方が高いが,Pbの溶出濃度は溶媒のpHによらず数mg/Lの値を維持し,産業廃棄物の埋め立て判定に係る溶出基準(環境庁告示第19号)を上回った。すべての陽イオン,陰イオンは初期に数百から数千mg/L溶出するが,その後の変化はイオン種により異なった。Na,K,Cl,SO4濃度は,10回洗浄および10Lで数mg/Lまで低下するが,Mgはその段階まで初期の濃度を維持した。Caの溶出濃度はpH2溶媒で10mg/L程度だが,それ以外の溶媒では1mg/L以下であった。 2.粘土ライナーによる鉛吸着 玄武岩風化土およびクロボクとベントナイトの混合土を粘土ライナーに使うことを想定し,混合土のカラム試料を用いて鉛の吸着試験を行い,鉛の吸着形態を今日慮した混合土の鉛吸着特性を調べた。浸出液のpHはいずれの試料でも6から7の範囲にあった。これは試料土の高い緩衝能による。カラムの浅い層では,間隙水中にかなりの量の鉛が存在したが,浸出液からは鉛はまったく検出されなかった。これら混合土は,鉛吸着という観点から粘土ライナー材として十分に機能することがわかった。
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