研究分担者 |
堤 聰 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (40092275)
杉浦 俊弘 北里大学, 獣医畜産学部, 助教授 (30146518)
齋藤 宗勝 盛岡大学短期大学部, 教授 (70133254)
小河原 孝生 生態計画研究所, 所長
谷口 建 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (80077122)
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研究概要 |
仏沼干拓地における環境教育牧場設置構想を実現させるためには,湿地での草地造成工法の創出,現存する野生生物生息域の維持管理技術およびビオトープの創出技術の確立,環境教育牧場としての維持管理・運営方法の確立などの課題を解決しなければならない。本研究は,これらの課題について実証することを目的としている。 仏沼干拓地は周りの水田より標高が低く,地下水位が高いため,強制排水が必要である。H14年度に施工された支線排水路に加え,H15年度に暗渠排水路が施工された。地下水位の低下が昨年度に比べ顕著であり,暗渠排水路の効果が実証された。これにより,ヨシの生長は抑制され,貯蔵養分の減少によると考えられる地下茎容積重の減少が見られた。また,不耕起造成法により草地造成された試験区における日本短角牛の放牧により再生ヨシの草高が低く維持され,イネ科牧草の草高とほぼ同じであった。牛を放牧すると,糞が排泄されるが,糞の消長に関与する土壌動物相についてその分布と個体数密度を左右する因子を検討した。その結果,草地造成区で土壌動物相の変化が顕著であることが示された。 国内希少動植物種に指定されているオオセッカは干拓地内で多数繁殖しているが,オオセッカはヨシの草高がなだらかに波状となっている群落にテリトリーを形成すること,また飛来当初火入れで焼け残った区域に分布していたオオセッカが焼けた区域において再生したヨシの生長と餌となる昆虫相の分布に対応して焼け残った区域から焼けた区域に移動してテリトリーを形成することが示された。さらに,火入れにより焼けた区域では,焼け残った区域に比べて,下層にイネ科植物,スゲ類に加えて広葉草本が繁茂することが示された。 環境教育牧場の公益的機能評価の前段階として,環境教育牧場の目的や人間と野生生物との共生について市民の理解を深めるための環境フォーラムを実施した。
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