研究課題/領域番号 |
15380171
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
蔵田 憲次 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90161736)
|
研究分担者 |
荊木 康臣 山口大学, 農学部, 助教授 (50242160)
兼子 敬子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (50332599)
|
キーワード | 多光子レーザー走査蛍光顕微鏡 / 植物 / 蛍光プローブ / フォトブリーチング / 共焦点レーザー走査蛍光顕微鏡 / カルシウムイオン |
研究概要 |
植物あるいは植物細胞の観察は、通常の蛍光顕微鏡や共焦点レーザー走査蛍光顕微鏡(以下CLSM)を用いて行われてきており、いままでに多くの成果を上げている。しかし、これらの顕微鏡観察では、励起光に紫外線から可視光の範囲の波長の光を使用するため次の問題点があった。すなわち、これらの波長の光は植物に対して生理作用があることである。これらの顕微鏡による観察は、一種の破壊的観察といえる。なぜなら、観察のための光照射によって、観察対象に変化をもたらすからである。近年、実用化された多光子レーザー走査蛍光顕微鏡(以下:MPLSM)は、この問題を、大幅に低減する可能性を持っている。なぜなら、植物への生理作用がほぼないと考えられている近赤外線を励起光として使用できるからである。もちろん、植物から発せられる蛍光は生理作用を持つ波長域の光であり、MPLSMによって、完全に上記の問題が解決されるわけではない。本研究では、MPLSMを用いて、環境変動時の植物あるいは植物細胞内(特に葉緑体内)の変化を観察し、MPLSMでしか検出できない変化を検出し、植物生理学およびそれに基づいた作物環境制御に貢献する。 今までにもMPLSMによる植物観察例は数例報告されているが、自家蛍光の観察やフォトブリーチングの観察であり、蛍光プローブを用いた本格的な観察は皆無に等しい。すなわち、技術的にもこれから開発すべき課題が山積している課題である。初年度は、そのため、次年度以降の観察の技術的な問題の検討を、カルシウムイオンの観察を取りあげて行った。以下の諸点が明らかとなった。1.MPLSMによるフォトブリーチングはCLSMに比べ一般的に大きい。2.CLSMで用いられる蛍光プローブをMPLSMで用いても、励起光の波長が2倍になるだけの違いではなく、励起スペクトル、蛍光スペクトルは大きく異なり、MPLSM用に新たに検討する必要がある。3.上記2の観点からカルシウムイオン濃度のレーシオイメージング観察可能なプローブを探したところ、fluo-3とFura-Redを組み合わせることが最適と判断された。
|