研究概要 |
液晶可変フィルターを使用して,可視光領域とNIR領域の分光画像を10nm単位で取得し,精度の高い外部および内部品質検査法を明らかにするために,今年度は,特に可視と近赤外の領域について試みた。近赤領域では,前半では測定装置の試作のための基礎測定を行った。後半では測定装置の改良点が見出されたので,その改良を試みた。その間,果実の着色度合いの分光波長および分光画像に主眼をおいて,成熟度ごとに波形と画像を測定し,品質判定の基礎項目(着色度,硬度,糖度等との関係)を400nm〜700nmの波長域で10nm間隔ごとに精密に測定した。測定は4月まで継続する。これらの解析は5月から実施し,品質評価の基準値を確定し,品質(安全・安心)の指標を明らかにしたい。 次に,イチゴの他にピーマン,バナナおよびニンジンを対象として,ハロゲンランプ光源下で各被写体から反射しカメラへ入射される分光分布を算出し,450〜650nm(±5nm)における分光画像を取得した。着色度の比較のために新配色カード7色を用いた。各波長において撮影した分光画像と青果物から反射される分光分布との関係から明らかになったことは,各波長域内にある物体の色は被写体から反射される強度が高いと,フィルターへの入射光が多くなり白く写し出される画像となることが判った。また、測定された分光画像は,被写体から反射される分光分布の波形に類似した濃淡画像となることが判った。 ニンジンの表層における3種類の異なる損傷部位の特徴抽出を500〜640nm(±5nm)の8波長において分光画像を取得した結果,色・傷の特徴ある分光画像が取得できたことから,損傷部位の判定が可能であることが判った。 今年度の研究結果より、目的とする農産物の品質評価・検査は,特徴ある波長域の選定を行うことによって可能と判断された。
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