研究概要 |
本研究の目的は人が食料として利用できない残渣・副産物等の家畜飼料化であるが,量的把握,通年給与可能な乳酸発酵飼料化と栄養価値測定,さらに実用化の機械製造等,基礎から応用までの総合的研究である。弘前大学農学生命科学部,山形大学農学部,宮城大学食産業学部の3大学・8名が,それぞれの研究条件と地域の飼料資源の特徴を生かし,各自の可能性を相互に連携し,より高い成果を求めた。 (1)東北・九州地域,また京都・大阪の大都市の畑作物残渣・食品副産物は飼料資源として豊富にあることが調査された。この有効利用は,最近の環境保全や,資源循環,食料自給率などへの国民意識の関心を受けて,各地で取り組まれていたが,家畜生産飼料の主要部分を担う状況には至っていないこと。これらが畜産経営に実際に活用されるためには,技術的確立の支援が求められていることが示された。 (2)乳酸発酵飼料調製は,リンゴ粕,トウフ粕,ダダチャ豆茎葉等,研究者の地域に特徴づけられ,密封保存によって良質に作られた。 (3)飼料成分,栄養価値評価を実験的に取り上げた主な残渣は,全国的に産出されているトウフ粕,及び地域特産のダダチャ豆の茎葉である。トウフ粕は高温高速乾燥トウフ粕のアミノ酸を定量し,牛のルーメン内消失を,またVFA産生はメン羊を用いて明らかにされた。乾燥トウフ粕は新鮮物と比べてルーメン発酵が遅れるために,反芻家畜への給与量を高められることが示唆された。肥育豚においても適正給与は肉味の評価が高く,また枝肉重量も高いことが示された。ダダチャ豆茎葉の飼料化に関するサイレージ化,品質,消化率など,一連の研究が行われ実用化技術が図られた。 (4)破砕・混合機械による根菜類,粕類,糠類,ワラ類等,多種類を配合したサイレージは良質で,爽やかな芳香を有した。これらのサイレージから糖類を資化して増殖するホモ乳酸発酵型の2乳酸菌が分離され,実用化が期待された。
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