研究課題/領域番号 |
15380186
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
後藤 貴文 九州大学, 農学研究院, 助教授 (70294907)
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研究分担者 |
服部 眞彰 九州大学, 農学研究院, 教授 (60175536)
増田 泰久 九州大学, 農学研究院, 教授 (60038263)
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キーワード | 代謝生理的インプリンティング / 牛肉生産システム / ウシ / バイオプシー / 脂肪細胞分化因子 / 耕作放棄地 / 農地保全 / 草資源の活用 |
研究概要 |
平成15年度に牛群を幼少期(初期成長期)のみ濃厚飼料(穀類)を多給して肥満処理を加えた区(濃厚飼料区)と粗飼料(乾草)のみを給与するという(粗飼料区)、極端に異なる飼養環境で飼育した牛群の、骨格筋内における肉質関連遺伝子群の発現を平成16年度もバイオプシーサンプルにより経時的にモニターした。10カ月齢時における骨格筋内の産肉関連遺伝子群の発現に関して脂肪分化制御因子のperoxisome proliferator activated receptorsγ(PPARγ)は濃厚飼料区で粗飼料区よりも有意に高い発現を示した。その後、両区とも同様の粗飼料のみの飼養にして、17ヵ月齢時に比較するとその差異は維持されており、初期成長期の肥満処理は代謝生理的インプリンティング効果として維持されている可能性が示された。また骨格筋内の脂肪細胞のサイズを比較すると処理直後の10ヵ月時も同様の粗飼料のみの給与になった17ヵ月齢時も濃厚飼区で粗飼料区よりも有意に大きかった。また、酵素組織化学的方法により筋線維型を分類して両区の骨格筋を比較すると濃厚飼料区で赤色筋線維(I+IIA型筋線維)が多くなっていることが明らかとなった。現在、相互作用するとされる他の脂肪分化制御因子群や産肉性に関連した因子群についても解析を進め、代謝生理的インプリンティングの詳細なメカニズムの解明を進めている。 以上、遺伝子発現に関する研究と骨格筋の組織化学的な研究から10ヵ月齢まで肥満処理を加えることにより、その後、同様の粗飼料(乾草)で飼養しても、初期成長期の体質(脂肪蓄積能力)は維持される可能性が示され、いわゆる"初期成長期の代謝生理的インプリンティング効果"の有効性が示すものと考えられる。
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