分子生物学的手法を用いた細菌の定量とバイオガス発生メカニズムの解明

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15380188
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構
• 研究代表者: 竹中 昭雄 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 畜産草地研究所・家畜生理栄養部, 室長 (40155031)
• 研究分担者: 田島 清 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 畜産草地研究所・家畜生理栄養部, 主任研究官 (80343953) ; 三森 真琴 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 畜産草地研究所・家畜生理栄養部, 主任研究官 ; 梶川 博 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 畜産草地研究所・家畜生理栄養部, 主任研究官 ; 長田 隆 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 畜産草地研究所・家畜生理栄養部, 主任研究官 ; 栗原 光規 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 畜産草地研究所・家畜生理栄養部, 室長 (30355060)
• キーワード: 温暖化ガス / メタン菌 / 半導体センサー / 定量的PCR / ルーメン

研究概要

半導体センサー生体ガス測定システム(mBA-3000 (株)タイヨウ)及び30ml真空バイアル瓶を用いて、牛舎や堆肥場から発生するメタン、水素、及び一酸化炭素濃度を測定する手法を開発した。バイアル瓶に標準ガスを保存した実験では2週間までガス濃度の低下は見られなかった。本手法によって、これらのガスを0.1ppmまで測定することが可能であることを明らかにした。北海道の畜舎等から採取した試料にたついて、環境中のメタン、水素濃度を測定し、同時にナンモニア検知管によってアンモニア濃度を、ガスクロマトグラフによって亜酸化窒素濃度を測定した。これらのガス濃度それぞれの相関について検討したところ、メタンと水素や亜酸化窒素とは相関が見られなかったが、メタンとアンモニアガスとは弱い正の相関が見られた。また、メタン菌の定量については、従来は培養法を用いて行っていたが、メタン菌の培養には場合によっては2週間程度必要なことから、迅速な定量法の確立が求められていた。そこで分子生物学的な手法を用いることによって、環境中に存在するDNAからPCR法によって目的とする細菌に特異的な配列を検出する方法を応用することとした。実際には、メチルコエンザィムMレダクターαサブユニット(MCR)及び16SrDNAの塩基配列を用いたプライマーを用いて、定量的PCR法によるメタン菌の定量法を確立した。メタン菌の培養液を用いた試験ではメタン菌が100個程度まで定量することが可能であることを明らかにした。

研究成果

• [文献書誌] 竹中昭雄, 田島清, 三森真琴, 梶川博: "ルーメンプロトゾア由来の繊維分解酵素遺伝子のコドン使用率"ルーメン研究会報. 14・2. 65-68 (2003)
• [文献書誌] 田島清, 三森真琴, 梶川博, 竹中昭雄: "PCRを用いたルーメン細菌の特異的な検出"ルーメン研究会報. 14・2. 69-70 (2003)
• [文献書誌] Mutsumi Nakamura, Takafumi Nagamine, Chisato Harada, Kiyoshi Tajima, Hiroki Matsui, Yoshimi Bennno: "Expression of Ruminococcus albus xylanase gene (xynA) in Streptococcus bovis 12-U-1."Current Microbiology. 47・1. 71-74 (2003)
• [文献書誌] Hiroshi Kajikawa, C.Valdes, K.Hillman, R.J.Wallance, C.J.Newbold: "Methane oxidation and its coupled electron-sink reactions in ruminal fluid"Letters in Applied Microbiology. 36. 354-357 (2003)
• [文献書誌] 竹中 昭雄: "新ルーメンの世界"社団法人 農山漁村文化協会. (2004)