研究課題
基盤研究(B)
生殖前駆細胞(単一胚由来)をドナーとし、雌雄の胚(レシピエント)に移植する。作出される雌雄キメラ(以下、単一キメラ)生殖腺内で卵子および精子へ分化制御を試みた。こうして作出された配偶子の受精によってドナー細胞とほぼ同一のゲノムを保有する子孫(以下、同一ゲノム個体)の作出を目的とした。放卵直後の横斑プリマスロック、または、烏骨鶏の受精卵をドナーとして使用した。白色レグホンの受精卵をレシピエントとして使用した。シャーレ上でドナーの受精卵を割卵し、胚盤葉の周辺に濾紙リングを保定した。胚盤葉を卵黄から採取し、さらに明域中央部の細胞塊のみを採取した。細胞塊の周囲に付着する余分な卵黄、卵白および血液を培地で緩やかに洗浄し完全に除去した。こうして胚盤葉の明域中央部に局在する生殖前駆細胞のみを選択的に採取精製した。この細胞をドナー細胞として利用した。レシピエントの受精卵を採取した。シャーレ上で割卵し濃厚卵白を除去した。紫外線を胚に照射し、レシピエント胚発生の遅延を誘起した。レシピエント胚盤葉明域中央部の細胞塊を物理的に除去した。事前に調整済みのドナー細胞をレシピエント胚(白色レグホン)へ顕微注入した。全胚培養系によって操作胚を培養した。操作胚の全胚培養を継続し雛を得た。こうして、雌雄の単一キメラ個体を3組得た。雌雄単一キメラ雛を性成熟まで飼養し交配をおこなった結果、羽装中にドナー(横斑プリマスロック)由来の横斑のスポットが混在したものが確認された。この結果から、これらの雌雄キメラのどちらか一方の生殖腺中に、ドナー由来の機能的配偶子(精子または卵子)の生産が確認された。このことから、本課題を通じ、これまで全く目処が立っていなかった鳥類同一ゲノム個体の再生につき、生殖前駆細胞の分化制御により先鞭をつけた
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