研究概要 |
ウズラの卵黄膜内層は顆粒膜細胞が合成分泌するZPCと肝臓で合成分泌されるZP1の2種類のタンパクによって構成されている。これまでの研究で,卵黄膜内層の繊維形成過程にはZPCとZP1の特異的結合が重要な役割を果たしていることがあきらかとなった。しかしZPCとZP1がどのように結合して繊維状となっているかは明らかではない。そこで本研究では結合に関与しているドメイン構造を明らかにするために,ZP1のブロムシアン分解産物に対するZPCの結合を調べ,次に哺乳類細胞株に発現させた変異ZP1に対するZPCの結合を調べた。 ウズラの顆粒膜細胞を[^3H]ロイシンを含んだ培養液で培養し,この間に分泌されるZPCを標識した。卵黄膜内層から精製したZP1をブロムシアンで分解し,分解断片を電気泳動で分離後,PVDF膜に転写・固定化した。PVDF膜を標識ZPCとインキュベーションし,オートラジオグラフィーによってバンドを検出することによって結合に関与している断片を特定した。ZPドメイン欠損ZP1を作成し,CHO-K1細胞に発現させて標識ZPCと混合した。これを抗ZPC抗体を用いた免疫沈降で処理し,得られた免疫沈降物を抗ZP1抗体を用いたウェスタンブロッティングで検出した。 ZP1の分解断片とZPCとの結合を調べたところ,分子量50kDaのバンドがZPCと特異的に結合することが確認された。N末端のアミノ酸配列の解析から,この分解断片にはZPドメインと呼ばれる配列が含まれていることがわかった。そこでこの部分を欠損させたZP1をCHO-K1細胞に発現させ,ZPCとの結合を免疫沈降で調べたところ,ZPドメインがないとZP1はZPCと結合しないことがわかった。以上の結果からZP1のZPドメインはZPCとの結合において重要な役割を果たしていることがわかった。
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