研究課題
前年度までの研究では、インヒビンの最も代表的な標的器官である下垂体からのインヒビンレセブターの精製を試みたが、組織が極めて小さいために成功しなかった。そこで、アクチビンの標的細細胞のK562と肝臓細胞でのインヒビンとアクチビンの作用について、検討した。1.コラゲナーゼ灌流法により肝細胞を分散し、プレートへ分注した翌日に3種類のアクチビンを添加して、さらに3日間培養した。各種アクチビンは単独添加では有意なIGF-1分泌抑制が認められなかったが、GH存在下では強力なIGF-1分泌抑制が認められた。活性の強さはアクチビンA>アクチビンAB>アクチビンBの純であった。2.ウシ卵巣中から発見された43kDaインヒビン結合蛋白質(IBP)はアクチビンの前駆体であった。そこで、リコンビナントヒトアクチビンを産生するCHO細胞の培養メディウム中にインヒビン結合蛋白質が存在することが考えられた。疎水クロマト、ゲル濾過クロマト、RP-HPLCによってリコンビナントアクチビン前駆体を精製した。ウシのインヒビンとアクチビンとの結合を見たところ、ウシの43KDa蛋白質より弱い活性であった。前駆体蛋白質に取得異性があるかどうか、今後の検討課題である。3.K562細胞は赤芽球系の腫瘍細胞である。アクチビンはこの細胞に作用して、細胞の分化を促進し、ヘモグロビン産生を誘導することが知られている。インヒビンの単独、あるはアクチビンの併用添加により、K562細胞にインヒビンが作用することを明らかにした。この細胞を大量培養することにより、インヒビンレセプター単離とアクチビンとのクロストークを明らかにする展望が開けた。4.現在、この細胞のインヒビン、アクチビンレセプターの精製と、セカンドメッセンジャーであるSmadの変動について検討している。
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