研究課題
本研究は乳房炎が頻発する産後直後の免疫機能低下の原因を好中球機能を中心に検索するとともに、乳房炎機能を明らかにすることを目的とする。そのためにウシ好中球機能の活性化のためのシグナル伝達機構の解明を行い、周産期での好中球機能さらには母胎側の好中球機能に影響を与える因子の同定と機能を明らかにするために実験を行った。PKCdelta阻害剤rottlerinを処理すると、OZによるウシ好中球のNADPHオキシダーゼの活性は1/2に低下した。しかし、刺激によるNADPHオキシダーゼコンポーネントp47^<phox>の膜への移動ならびに細胞骨格重合促進には影響を与えなかった。これらの広域PKC阻害剤であるGF109203Xではp47^<phox>の膜への移動を抑制することから、PKCアイソフォームによって制御の様式が違うことが示された。胎盤・血清中での抑制因子の探索では、分子量180kDaのタンパク質、トランスフェリンならびにラクトフェリンが骨髄芽球から好中球への分化時に見られるNADPHオキシダーゼ発現に抑制的な影響を与えることを見いだした。さらに、上記の抑制因子のうち、ウシラクトフェリンは乳汁中に含まれ、乳房での免疫制御に関与している可能性が示唆されたので、これについてサイトカイン誘導に及ぼす効果を検討した。LPSあるいはConA刺激したラットマクロファージと単球のINF-γ、IL-1β、TNF-α、IL-12p40ならびにiNOSのmRNA発現を検討したところ、INF-γとIL-1βのみがLPSで誘導が観察され、ウシラクトフェリンはこれらの炎症性サイトカインの誘導を強く抑制した。以上のことからラクトフェリンは乳房での炎症制御に強く係わっている可能性が示唆された。
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