研究課題/領域番号 |
15380201
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
森松 正美 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (70241370)
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研究分担者 |
山本 欣郎 岩手大学, 農学部, 助教授 (10252123)
吉松 組子 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (90220722)
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キーワード | 自然免疫 / NF-kappaB / LPS / 炎症 / DNA損傷 / 遺伝子多型 |
研究概要 |
自然免疫(innate immunity)は、各種病原体に共通して存在する構造物(リポ多糖体(LPS)など)を認識する生体防御反応であり、これらの構造物がToll様受容体(TLR)を介してNF-κBを活性化する細胞内情報伝達系により支えられている。最近、研究代表者らはLPS刺激によって発現誘導される新規分子MAILを発見した。 1.MAIL破壊マウスの解析 MAIL遺伝子ホモ型変異マウスの皮膚炎をBALB/c系とB57BL/6系で比較した。B57BL/6系と比べてBALB/cの皮膚炎は眼周囲に限局しており、引っ掻く行動もやや少なかった。B57BL/6はTh1の、BALB/cはTh2の免疫系が優性であることが知られており、免疫応答能の違いが皮膚炎病態に影響を与える可能性が示された。 2.NF-κB標的分子Lipocalin-2の発現調節 Lipocalin-2は生体防御で重要な抗菌分子であり、MAILがマクロファージにおいてこの分子の発現誘導に関与していることが最近、報告された。一方、この分子は、生殖細胞由来因子に依存してセルトリ細胞で発現することが判明したため、その発現調節メカニズムを検討したところ、MAILを介さないNF-κB情報伝達系で調節されていることが示された。すなわち、Lipocalin-2の発現調節は、細胞種特異的な機構によることが明らかになった。 3.BRCA2遺伝子産物の解析 NF-κB標的分子のひとつであるBRCA2は、相同組換えによるDNA損傷修復や細胞周期の調節を通じて細胞増殖や胎子発生に重要な役割を果たしている。これらの機能を発現するためには、この分子が核に移行することが必須である。イヌのBRCA2の核移行シグナル(NLS)に多型を発見した。このNLS多型は、核移行効率や腫瘍発症頻度と相関している可能性が示された。
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