研究課題
基盤研究(B)
1.ラットの低プロラクチン母乳による保育が成体期でのストレス耐性および母性行動に及ぼす影響の解析母乳に含まれるプロラクチンの乳仔の脳機能発達への影響を調べるため、プロラクチン分泌阻害剤であるブロモクリプチンを出産直前の母親ラットに投与し、低プロラクチン母乳で育った仔ラットの成体期におけるストレス耐性および母性行動誘導能を正常母乳で育った場合と比較した。8週齢の雄ラットにおけるストレス性胃潰瘍の発祥度を指標としたストレス耐性度は正常母乳群に比べて低プロラクチン母乳群では有意に低下した。また、10週齢の未経産雌ラットの仮仔に対する母性行動も低プロラクチン母乳群で有意に低下した。したがって母乳中のプロラクチンは乳児期の脳に作用し、ストレス耐性、母性行動にかかわる神経回路の形成に働いている可能性が考えられる。2.ラットプロラクチン受容体遺伝子の新規第1エクソンの同定と肝臓における性ステロイドホルモンによる発現調節ラットプロラクチン受容体遺伝子においてこれまで見いだされている4種類の第1エクソンE1-1、E1-2、E1-3、E1-4に加え、もう一種の新規の第1エクソンとしてE1-5の存在することを発見し、また、肝臓における性ステロイドホルモンによるプロラクチン受容体遺伝子の発現調節がE1-2第1エクソンの発現を通じてなされていることを明らかにした。3.ラットプロラクチン受容体遺伝子の脳特異的発現調節機構の解析ラットのプロラクチン受容体遺伝子において脳特異的に使用されている第1エクソンであるE1-4が第2エクソンと第3エクソンの間に存在し、脳の発育にともなうプロラクチン受容体遺伝子の発現量の増大はE1-4の発現誘導により調節されていることが判明した。
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