研究概要 |
本研究計画は、既に植物発現している動物サイトカインを動物に経口的に投与し、粘膜上皮細胞、粘膜付属リンパ装置の発達に対する効果の検討を行う。さらに抗原あるいは病原体を同時に投与し、免疫増強効果あるいは非特異免疫系活性化等について精査し、植物発現系のメリットを最大限に活用した新たなサイトカイン療法を確立する。 本年度は形質転換増殖因子(TGFβ)の経口投与効果を検討した。大腸菌発現組換えTGFβの経口投与(5,20,50ng)を一回投与後、各種原虫(Toxoplasma gondii, Babesia microti, Babesia rhodhaini, Plasmodium berghei, Trypanosoma congolense)で攻撃し、延命効果で判定した。強毒T.gondiiであるRH株、弱毒であるPLK株では、経口投与の効果は認められなかった。また、Babesia microti, Babesia rhodhaini, Plasmodium berghiでも対照群と寄生赤血球率、死亡率、死亡日数に有意な差は認められなかった。Trypanosoma congolenseの感染においては、5ng投与群において、7日目の血中原虫数、死亡日数に差が認められた。原虫増殖抑制機序を探るためには脾臓でのNK細胞活性の検討が必要である。INF経口投与で発現が有意に上昇する遺伝子(ヒト)に関する情報を得て、ウシにおける候補遺伝子のRTPCR系を開発した。今後牛でのINF投与効果の指標として利用できると考えている。
|