研究概要 |
本研究計画は、既に植物発現している動物サイトカインを動物に経口的に投与し、粘膜上皮細胞、粘膜付属リンパ装置の発達に対する効果の検討を行う。さらに抗原あるいは病原体を同時に投与し、免疫増強効果あるいは非特異免疫系活性化等について精査し、植物発現系のメリットを最大限に活用した新たなサイトカイン療法を確立する。 15年度はインターフェロンα(INFα)の形質転換植物を経口投与することの効果を、リステリア菌感染マウスモデルを用いて解析した。その結果、天然型INFαを経口投与により脾臓ならびに肝臓中の菌数が有意に低下することが明らかとなった。このことは、INFα経口投与で菌に対する防御反応が早期に成立し菌が排除され、また植物発現INFαでも同様な効果が認められた。 16年度は形質転換増殖因子(TGFβ)の経口投与効果を検討した。大腸菌発現組換えTGFβの経口投与(5,20,50ng)を一回投与後、各種原虫(Toxoplasma gondii, Babesia microti, Babesia rhodhaini, Plasmodium berghei, Trypanosoma congolense)で攻撃し、延命効果で判定した。これらのうち、Trypanosoma congolenseの感染においては、5ng投与群において、7日目の血中原虫数、死亡日数に差が認められた。原虫増殖抑制機序を探るためには脾臓でのNK細胞活性の検討が必要である。 INF経口投与の効果発現機序を明らかにする目的で発現が有意に上昇する遺伝子(ヒト)に関する情報を得て、ウシにおける候補遺伝子のRTPCR系を開発した。今後牛でのINF投与効果の指標として利用できると考えている。
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