研究課題/領域番号 |
15380212
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田島 誉士 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (90202168)
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研究分担者 |
迫田 義博 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (40333637)
落合 謙爾 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (80214162)
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キーワード | BVDV / ウイルス遺伝子 / 中枢神経異常 / 遺伝子型 / 系統樹解析 |
研究概要 |
主に北海道地方で野外から分離された牛ウイルス性下痢症ウィルス(BVDV)および発症牛あるいは非発症持続感染牛の末梢血白血球からそれぞれウイルス遺伝子を増幅させ、得られたPCR産物の塩基配列を解読して系統樹解析を実施した。BVDVの主要抗原であるE2をコードする遺伝子の塩基配列を解読し、それに基づく系統樹解析によって遺伝子亜型を決定した。 1991〜2003年までに検出された92検体について解析したところ、5検体が世界的にきわめて稀な1c亜型に分類された。このうち2検体は、運動障害を主徴とする中枢神経異常の症状が認められ、病理解剖によって大脳に肉眼病変が認められた。また、糖尿病併発BVDV感染牛から検出されたBVDVはすべて1a亜型に分類され、それぞれが遺伝学的に非常に近縁であり、小クラスターを形成していた。 以上のことから、BVDV感染に併発する中枢神経異常および糖床病は、特定の遺伝子亜型に属するBVDVと密接な関連性があることが示唆された。これらのウイルスのE2領域にはそれぞれ特徴的なアミノ酸配列が含まれており、宿主の免疫応答あるいは組織親和性に何らかの影響を及ぼしていることも考えられた。本研究で系統樹解析に使用している塩基配列は、E2内に存在するエピトープの1つを含んでいるため、発症機序の解明のみならず予防対策の確立にも充分に活用できる。
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