研究課題/領域番号 |
15380216
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
濱名 克己 鹿児島大学, 農学部, 教授 (30011977)
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研究分担者 |
津田 知幸 動物衛生研究所, 九州支所, 室長 (70355212)
村上 隆之 宮崎大学, 農学部, 教授 (00040981)
上村 俊一 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (90233949)
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キーワード | 牛の先天異常 / アカバネ病 / チュウザン病 / アイノウイルス感染症 / ネオスポラ症 / フリーマーチン / 二頭体 / 心奇形 |
研究概要 |
2000年1月から2003年6月の期間に鹿児島大学に375例の先天異常子牛が収集された。病理解剖学的に分類すると、発育不良群(34%)が最も多く、ついで中枢神経系異常群(23%)、骨格・筋・関節系異常群(21%)が多かった。疫学的な解析とウイルス抗体価測定により、2000年初めには水無脳症と関節彎曲症を主とするアカバネ病が、2002年初めには水無脳症と小脳形成不全を主とするチュウザン病が、さらに2003年初めには矮小脳と小脳形成不全を主とするアイノウイルス感染症の流行が南九州地方に発生したことが確認された。 シンブ群ウイルスのアカバネ、アイノ、ピートンの各ウイルスの中型RNA断片の配列を解析したところ、いずれも1個の大きな骨格を持っており、アミノ酸数はそれぞれ1401、1404、1400であった。この変異は各ウイルスの抗原性に関係しており、進化の過程で再配列が生じていた。 牛の結合体54例の心大血管系の形態を検索したところ、二顔体21例はすべて単一心であったが、他の結合体では様々な心奇形を伴う分離心が主であった。また二頭体子牛1例の結合心は、3心房、3心室、3大血管で構成されていた。 ホルスタイン種の三つ子の雌に性染色体のキメラと雄特異バンドが認められ、フリーマーチンと判定された。また黒毛和種雌牛1例に、未分化胚細胞腫と顆粒膜細胞腫が、それぞれ左右の卵巣に存在するという希有な症例に遭遇した。 牛ネオスポラ症の可能性が疑われた黒毛和種41例の抗体を検査したところ、すべて陰性であった。他方、酪農家2戸のホルスタイン種では20-30%が陽性であり、垂直感染とともに水平感染も示唆された。
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