研究課題/領域番号 |
15380217
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
山手 丈至 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助教授 (50150115)
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研究分担者 |
熊谷 大二郎 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (70316016)
塚本 康弘 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (90305657)
桑村 充 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 講師 (20244668)
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キーワード | 腎線維化 / 浸潤マクロファージ / 固着マクロファージ / 樹状細胞 / ラットモデル / 肝線維化 / 免疫組織化学 / 病理発生 |
研究概要 |
本研究の目的は、腎線維化部位に出現するマクロファージ群の機能的特性を明らかにし、難治疾患である腎線維化の進行を軽減する方策を探索することにある。本年度においては、ラットの異なるマクロファージ群を特異的に認識する抗体を用いて、腎線維化部位に出現するマクロファージを免疫組織化学的に同定する方法を確立することを試みた。用いた抗体は、浸潤マクロファージを認識するED1、固着マクロファージを識別するED2、そして抗原提示能のある樹状細胞様マクロファージを識別するOX6である。 これら抗体を用いて腎毒性を有するシスプラチンをラットに投与し実験的に作出した腎間質線維化におけるマクロファージ群の出現を解析した。その結果、これらマクロファージ群の出現動態と分布には違いがあることが明らかになった。ED1とED2陽性マクロファージは線維化初期に増加し高い貪食活性を示すことが分かった。一方、OX6陽性マクロファージは線維化後期に出現し抗原提示能を示すことでTリンパ球の誘導に係わっている可能性が示された。 また、マクロファージは肝線維化(肝硬変)においでも重要な役割を担うことから、ラットにチオアセトアミドを投与することにより肝線維化を誘導し、出現するマクロファージ群の動態を調べたところ、傷害された中心静脈周囲においてはED1とOX6陽性マクロファージが主に出現し、ED2陽性マクロファージ(肝ではクッパー細胞)は傷害部位周囲にのみ出現することが分かった。肝でのマクロファージの出現状況は腎線維化のそれと異なることが示された。さらに、本研究においてはマクロファージ機能を知るために海棲哺乳類である鯨におけるマクロファージの分布を調べたところ、鯨のマクロファージの同定にはAM-3KとSRA-E5などのヒトのマクロファージを抗原として作製された抗体が有用であることが分かった。 現在、シスプラチン誘発ラット腎線維化モデルを用いて抗酸化効果のあるタウリンを投与する実験や、アンジオテンシン変換酵素阻害剤であるエナラプリルを投与する実験を試み、腎線維化の軽減法について研究を進めている。
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