研究課題/領域番号 |
15380218
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
亘 敏広 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (50220950)
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研究分担者 |
渡邊 俊文 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (10191777)
織間 博光 日本獣医畜産大学, 獣医学部, 教授 (50130729)
山谷 吉樹 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (50267043)
大石 明広 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (40168852)
大野 耕一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (90294660)
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キーワード | 内視鏡 / 標準化 / 内視鏡の有用性 / 消化管型リンパ腫 / 超音波内視鏡 / リンパ球サブセット |
研究概要 |
平成15年度はまず研究班全体としての内視鏡手技の確認作業を行った。実験犬を用いて消化管内視鏡操作の実習を行い操作手順および観察部位などの標準化を図った。さらには色素散布法や内視鏡超音波検査法などの検査法も実習し、各大学において症例を集積した。 次に犬の内視鏡検査の有用性として、実際に内視鏡検査を行った犬109例についてその使用自的、生検部位および病理診断について検討した。その結果94頭(86%)が上部消化管に、26頭(24%)が下部消化管に用いていた。11頭(10%)では上部および下部消化管両方に対して実施していた。そのうち21頭(19%)が異物摘出を、さらに3頭(3%)が内視鏡的処置目的として実施されていた。この他の85頭(78%)では生検を目的に実施されていた。生検部位では十二指腸が62頭と圧倒的に多く、続いて胃が43頭であった。次に胃と十二指腸を共に生検をしていた19頭について評価したところ胃に病変が無く十二指腸のみに病変を認めたものは12頭(63%)であり、両方に病変を認めたもの(36%)に比較して明らかに高率であった。以上の結果内視鏡検査はその約8割が生検に用いられており中でも十二指腸の生検の重要性が示唆された。 次に内視鏡検査では診断精度が低いとされている消化管型リンパ腫について検討した。内視鏡的に診断可能であったリンパ腫症例7例を用いてその特徴について評価したところ、臨床症状では多くの例が下痢と体重減少を呈していた。内視鏡所見では5/7例において粘膜面の増殖性病変が認められ、他の炎症性疾患とは明らかに異なるものであった。さらに内視鏡超音波検査で十二指腸壁の厚さを評価したところリンパ腫症例では健常犬に比較して肥厚していることが示唆された。また、生検材料を用いて浸潤しているリンパ球のサブセットを解析したところ検討した5例全てでCD3陽性T細胞の浸潤があきらかとなった。
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