研究課題
本菌のコールドショックタンバク質をコードする遺伝子の中で、CspB2をコードする遺伝子をクローニングし、その塩基配列を決定した。推定されるアミノ酸配列は、本菌から既にクローニングされているcspAおよびcspB1遺伝子から推定される配列と、それぞれ85%および81%の類似性を示した。プライマー伸長法によってcspA、cspB1およびcspB2遺伝子の転写開始点を調べたところ、これらの遺伝子はそれぞれ開始コドンから174bp、184bpおよび115bp上流から転写されていた。転写開始点から推定されるプロモーター領域の配列を比較したところ、cspAおよびcspB2プロモーター領域は、よく類似していたが、cspB1プロモーター領域は、cspAおよびcspB2プロモーター領域と類似性を示さなかった。またcspB1プロモーターからの転写物量は、cspAおよびcspB2プロモーターからの転写物量と比較して少なかった。以上の結果は、cspB1プロモーターは、本菌の他のコールドショックプロモーターとは異なる制御を受けている可能性を示唆している。さらにこれらのプロモーター領域には、cold box等のモチーフ配列を見出すことはできなかったことから、本菌の低温応答機構は、既報のものとは異なる可能性が示唆された。cspB1遺伝子のプロモーター領域の下流にDNA gyrase活性を阻害するタンパク質をコードするccdB遺伝子を連結し、低温条件での致死性の発現を調べた。その結果、親株は15℃の条件で生育したのに対し、ccdB遺伝子を導入した菌株は生育を示さなかった。しかし、生育温度を30℃にシフトさせた場合、同菌株が生育したことから、ccdB遺伝子の発現によって本菌が死滅したのではなく、本菌の生育を抑制しただけであることが明らかになった。
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日本農芸化学会大会講演要旨集(2005・札幌)
日本農芸化学会大会講演要旨集(2004・広島)
ページ: 160
ページ: 159
Journal of Bioscience and Bioengineering 98, 2
ページ: 71-96