研究課題
基盤研究(B)
1.ファージディスプレイ系を用いた殺虫タンパク質ライブラリーの作製と受容体結合性向上殺虫タンパク質の選抜文献で受容体結合位置候補と報告されている、殺虫タンパク質上の連続した6もしくは7アミノ酸からなる領域4箇所がランダムな配列になるように変異を導入し、次にこれをファージ上に発現させて変異殺虫タンパク質ライブラリーを構築した。カドヘリン様タンパク質受容体をコーティングしたアッセイプレイトにこのファージ溶液を反応させ、受容体に結合性の高い殺虫タンパク質変異体を発現したファージをスクリーニングした。その結果、スクリーニング前には受容体に対する結合性も殺虫活性も低いクローンが大勢を占めていたが、スクリーニングによって受容体への結合性も殺虫活性も元の殺虫タンパク質と同程度の、しかしアミノ酸配列はそれとは異なるクローンが多数得られた。したがって、このようなライブラリー構築と選抜を繰り返すことにより、出発材料の殺虫タンパク質よりも受容体に対して結合能力が高く、殺虫活性が高い変異体が得られるものと考えられた。2.受容体結合部位の解析Cry1Aa殺虫タンパク質上の受容体結合部位を決定し、殺虫タンパク質の活性改善のための変異導入部位を決定する目的で、受容体結合ドメインであるドメイン3にある合計20のアミノ酸残基に関してシステイン置換を行い、さらにはそのシステインを介して分子量約2000のペプチドを結合させ、受容体への結合に影響が出るか検討した。その結果、ベプチドをつけたS483C、S551C、およびS580Cにおいて受容体アミノベプチダーゼNへの結合性が低下した。しかし、これらの周りにペプチドをつけた殺虫タンパク質においては結合性は変わらなかった。よって、アミノベプチダーゼNへの結合部位はS483、S551、およびS580付近、あるいはそれらが作る三角形の内側にあるものと推察された。
すべて 2005
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Applied and Environmental Microbiology 71
ページ: 3966-3977
Appl Environ Microbiol. 71(7)