研究課題
基盤研究(B)
長鎖アルキル置換クエン酸天然物は、強力且つ特異的な酵素阻害活性を有し、医薬開発リードとして非常に大きな関心がもたれている。しかし、その共通単位である置換クエン酸構造の一般キラル合成法は未だ確立されておらず、4級不斉中心を含む高度に官能基化された置換クエン酸構造を高エナンチオ選択的に構築する方法論の開発は、有機合成化学ならびに創薬化学の観点から大きな意義をもつ。そこで、触媒的不斉Baylis-Hillman反応と不斉向山アルドール反応に基づく置換クエン酸構造構築法について検討した。その結果、触媒的不斉Baylis-Hillman反応に関しては、乾燥した触媒β-ICDを用いる新たな反応条件を見出し、収率、エナンチオ選択性共に改善できた。さらに、不斉触媒の検討も行い、キニーネからβ-ICDと相補的なエナンチオ選択性を発現する2種のアミン触媒の合成に成功した。また、γ-アルコキシ-α-ケトブタン酸エステルの不斉Baylis-Hillman反応に関して検討したが、エナンチオ選択性が70%eeを超える条件を見いだすことはできなかった。一方、不斉向山アルドール反応に関しては、EvansのBOX銅触媒を用いる置換シリルケテンアセタールとの反応では好結果は得られなかった。しかし、新たに有機触媒を用いる不斉アルドール反応を検討した結果、この方法が置換クエン酸構造単位の構築に有用であることを見いだすことができた。さらに、置換クエン酸天然物の合成に関して、まず、野崎-檜山-岸反応に基づき、トラキスプ酸のラセミ合成とエナンチオ制御合成を完了し、それまで不明であった相対配置ならびに絶対配置を明確にした。さらに、オレフィンクロスメタセシス反応に基づくビリジオファンジンAの最初の不斉全合成に成功した。
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