研究課題/領域番号 |
15390009
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
中田 忠 東京理科大学, 理学部, 教授 (50087524)
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研究分担者 |
松倉 弘子 理化学研究所, 有機合成化学研究室, 先任技師
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キーワード | 海洋産天然物 / 多環状エーテル / ヨウ化サマリウム / 環化反応 / イェッソトキシン / 収束的合成 / マイトトキシン / ガンビエロール |
研究概要 |
赤潮の原因種である渦鞭毛藻Gymnodinium breveの生産する毒ブレベトキシンBが1981年に単離、構造決定されて以来、イェッソトキシン、ガンビエロール、マイトトキシンなど数多くの海洋産多環状エーテル系天然物が単離されている。これら海洋産天然物は、エーテル環が梯子上にsyn-trans-配置で連結した特異な多環状エーテル構造を持ち、またイオンチャンネルに特異的に作用するなど顕著な生物活性を有しており、合成化学的にも薬理活性の面でも極めて興味深い。本研究は、環状エーテルの立体選択的合成法の開発、効率的な収束的合成法及び2方向型合成法の開発を行い、また我々の開発したSmI_2を用いる環化反応による多環状エーテル合成法を基盤として、これら海洋産天然物の全合成、かつそれら各種の誘導体を合成することを目的とする。本研究課題の推進により、海洋産多環状エーテル系天然物の合成化学分野の飛躍的発展を目指すものである。 (1)SmI_2による還元的環化反応は、これまで完全な選択性でsyn-trans-エーテル環(6および7員環)を与えてきたが、ガンビエロールのE環(7員環)の構築においては、syn-trans-体の他にanti-trans-体も生成した。これは、2種のキレーション中間体をへるためと推測した。 (2)開発した多環状エーテルの収束的合成法を基盤として、ガンビエロールのABC環およびEFG環の結合を行った。現在、DE環の構築を検討中である。 (3)開発した2方向型合成法の開発を基盤として、イェッソトキシンのC環を出発としてBおよびD環をヨウ化サマリウム環化反応で一挙に構築し、更にAおよびE環を順次構築することによりABCDE環部の合成を達成した。 (4)エポキシアルコールのend-環化によるイェッソトキシンのK環を構築できた。 (5)マイトトキシンのWXYZA'環部の合成を達成した。即ち、SmI_2環化反応でA'環を構築し、不飽和エポキシドのendo-環化反応でZ環を合成し、ついで、SmI_2環化反応を繰返し、YおよびX環を構築できた。最後にビニルエポキシドのendo-環化反応でW環を合成し、マイトトキシンのWXYZA'環の合成に成功した。
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