研究課題/領域番号 |
15390014
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中山 守雄 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60164373)
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研究分担者 |
松田 尚樹 長崎大学, 先導生命科学研究支援センター, 教授 (00304973)
小野 正博 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (80336180)
原武 衛 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (40325668)
佐治 英郎 京都大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (40115853)
荒野 泰 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (90151167)
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キーワード | アルツハイマー病 / 老人斑アミロイド / インビボ画像化 / 放射性医薬品 / 放射性金属核種 / SPECT / テクネチウム-99m |
研究概要 |
アルツハイマー病(AD)の確定診断に患者死後脳の病理学的所見が必要な現状において、体外からの老人斑の画像化は有効な診断法の確立につながると考えられる。そこで我々は、老人斑のインビボ画像化を目的として、老人斑アミロイドに選択的結合性を有する新規放射性薬剤の開発を計画した。本年度は、Aβに選択的結合能を有することが知られているベンゾフラン(BF)およびスチルベン(ST)誘導体を母体化合物として用い、数種の置換基を導入した放射性ヨウ素(I-125)標識化合物を設計、合成した。それぞれの標識化合物は、Aβ(1-40)凝集体を用いたインビトロ結合実験の検討より、置換基の種類・導入位置に関わらずAβ(1-40)凝集体に高い結合親和性を示した。 さらに、臨床上有用な放射性金属核種であるテクネチウム-99m(^<99m>Tc)との錯形成部位として、ヒドロキサムアミド基をBFおよびST誘導体に導入した配位子を合成し、^<99m>Tcとの錯形成反応を行った結果、90%以上の放射化学的収率で目的とする^<99m>Tc標識体を得ることに成功した。これまでの検討では、ヒドロキサムアミド誘導体は、2座配位子として機能し、^<99m>Tcと1:2錯体を生成すると考えられている。従って今回得られた錯体は、母体化合物と脂溶性、分子量の点では大きく異なる。しかし、Aβ(1-40)凝集体を用いたインビトロ結合実験において、いずれの^<99m>Tc錯体も、Aβ凝集体への濃度依存的な結合性を示すことが明らかになった。この結果は、^<99m>Tc錯体においてかなりの割合を占める錯形成部位が、母体化合物とAβ凝集体への結合に及ぼす影響が小さいことを示しており、放射性ヨウ素標識薬剤だけでなく、放射性金属核種を用いた老人斑アミロイド画像化薬剤開発の可能性を示したものといえる。また、得られた^<99m>Tc錯体は、老人斑アミロイドと低分子化合物との結合性に関して、異なった視点からの情報を与えることも期待できる。
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